騒ぎ
マルクと別れ王都の中に入ったマーオは街の中を歩いていた。
村を出る時に頼まれた用事を済ませようと、言われた建物を探して街の商店通りを歩いていた。
馬の手綱を右手に持ち、鞄の中にいた妖精はマーオの肩に移動して座っている。
街道は馬車がすれ違っても余裕があるように設計されているのか、馬を連れているものもチラホラと見られた。
「マルクを許してくれてありがとう」
『あんなお子ちゃまに本気で怒るわけないでしょ』
マーオの言葉に肩に座っている精霊はツンと顔を反らせ、足をブラブラと揺らしている。
「ふふ。それもそうね。だけど気配を消すだけじゃなくて他の人からの認識されるのを防げるなんて凄い魔法もあるのね」
王都に入ってすぐ鞄の中から出てきた妖精に目立つのではないかと一瞬考えていたマーオに妖精は心配ないと言っていたことを思いだし、マーオはその便利さに改めて感心した。
『もっと褒めてもいいわよ♪』
素直に賛美を送るマーオに、精霊が胸を反らせ自慢をする。その姿をマーオは可愛いなと思いながら気になったことを口にした。
「でも認識を妨げることが出来るのに何でさっきは鞄の中に隠れたんですか?」
『ばっ!! 別に隠れたわけじゃないわよ?! ただその方がいいかと思った私の優しさなんだから!!』
「あ。そうなんですか? まあそれはいいんですけど、それよりもこれどういう仕組みなんですか? 私にもできますかね?」
隠すことなく話をしているというのに誰も見ないことが不思議で、周りをキョロキョロと見まわし歩きながらマーオは尋ねる。
『マーオは時々サラッと酷いよね』
「え? どこがですか?」
『まあ、そんな所もマーオらしいから面白いんだけどね♪ それよりどういう仕組みも何も、マーオたちも狩りをする時によく使ってる魔法の一つだよ?』
聞かれたことが不思議なのか精霊が首を傾げて言うと、身に覚えのないマーオも不思議そうに首を傾けた。
「狩りの時に魔法なんて使った記憶はないですよ?」
『え、使ってるわよ?』
お互いに不思議そうに首を傾けて考えていると、マーオたちが進んでいる方向から突然喧騒が聞こえてきた。
「……何かあったのかしら?」
『喧嘩 ?』
マーオと精霊の意識はその喧騒に向けられる。
まだ街に入ってそんなに経っていないのに喧嘩かとマーオは呆れるが、それよりも何があったのかが気になりこのまま進むか逡巡する。
だがそれもすぐに同じように騒きに気が付いた者たちが何事かと騒ぎを確認しようと喧騒のもとへと足を運んでいるのを見て確認をすることを決めた。進む方向だからと心の中で言い訳をして足早に大声が聞こえてくる方へと駈け出す。
喧騒が近づくごとにマーオの耳に喧騒の中心人物であろう人々の怒鳴り声が聞こえてきた。




