詩小説へのはるかな道 第85話 きっと もう大丈夫
原詩: きっと もう大丈夫
洗いたてのタオルのように
あなたの言葉が
わたしの哀しみを吸い取ってくれます
朝初めてのコーヒーのように
あなたの香りが
わたしを不安から目覚めさせてくれます
行ってきますのハグのように
あなたの温もりが
わたしの今日をあたためてくれます
わたしの哀しみや不安
そんなに わたしを守らなくていいよ
きっと もう大丈夫
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詩小説: きっと もう大丈夫
朝の光は、いつも少しだけ残酷です。
眠りの淵で守られていたわたしを、容赦なく現実へと引き戻すのですから。
長い間、私は哀しみを重いコートにして生きてきました。
それを脱いでしまったら、自分という存在がバラバラにほどけて、どこかへ消えてしまいそうで怖かったのです。
キッチンから漂ってくるコーヒーの香りが、そんなわたしの頑なな輪郭をゆっくりと解いていきます。
あなたが丁寧に淹れた一杯は、喉を通るたびに、体の中に溜まった古い澱をさらさらと流してくれるような気がしました。
「はい、これ」
手渡されたタオルは太陽の匂いがしました。
顔を埋めると、ふかふかとした感触がわたしの心の震えを受け止めてくれているようでした。
出がけに交わした、少し長めのハグ。
あなたの体温が私の胸にじわりと移ります。
ああ、わたしはもう、この哀しみに守ってもらわなくても、ひとりで立っていられるかもしれません。
自分を縛りつけていた重荷に、
「今まで守ってくれてありがとう、でももう、お休みしていいよ」
と告げることができそうです。
あなたの温もりがあるこの世界なら、きっと、もう大丈夫です。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌: きっと もう大丈夫
一 残酷な朝
朝の光
まだ眠りたい胸を裂き
ほどける前の
わたしを呼び戻す
少し残酷
二 重いコート
哀しみを
脱げずにいた日の
重さごと
クローゼットから
陽だまりが覗く
三 コーヒーの香
ゆっくりと
輪郭ほどく
湯気の帯
古い澱まで
さらり流して
四 太陽のタオル
「はい、これ」と
手渡された布の
あたたかさ
顔をうずめて
震えを預ける
五 長めの抱擁
出がけには
少し長めの
抱きしめを
胸に移った
あなたの体温
六 重荷との別れ
守られた
哀しみさえも
いまならば
「もう休んでいい」
そっと告げられる
七 新しい世界
あなたいる
この世界なら
だいじょうぶ
光の中で
ひとり立てそう
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




