表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救いを貴方へ ~痛みの先に~  作者: 湘南乃炎
二章 自己の先へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/108

二十一話 旅路

2章終了となります


終盤お楽しみに

「いらっしゃい。お、二人か」

「ああ、店主。シュワーぜを2つ頼む。」

「あいよ」


いつも通りの注文をこなし、普段通りの席に2人とも腰を下ろす。

そして俺は早速話を切り出す。


「それで?」

「私はダレンについて行くって決めた。これはもう変えられない」

「騎士として人を守るのが夢なんじゃないのか?」

「それは手段でしかなかったんだよ。騎士は」


クラリスの言い分には未だに納得はいかなかった。彼女の夢を追う姿勢が俺は好きだった。

それを俺に着いてきて、俺がそれを壊してしまうのが嫌だった。


「人を助けようとする度に苦しむダレンを見ていたくない」

「これは俺の道であって、クラリス。君は違うだろ」

「あなたを守りたい。あの時そう思った自分に嘘をつきたくない」


あの時確かに俺は自分を見つけられた。また逃げるようなことはしたくない。

クラリスは自分から逃げずにただ向き合っているだけ。その目が俺は本当に好きなんだ。


「俺はまだ弱い。至らぬことばかりだ。それでもいいのか?」

「いいよ。ダレンがダレンらしくあるために、私はあなたを、人を守るよ」


結局、目的は違えどクラリスは変わっていなかった。

輝くようなブロンド髪に、決意を滲ませる碧眼。何も変わってなどいなかった。


「はあ...仕方ないか....」

「そういうこと。この先もよろしくね」


そのいたづらな笑顔をこれからも見ると思うと胃が痛くなった。だが、同時に心強いとそう思えた。


「痴話喧嘩は終わりですかい?」

「そういうんじゃないさ。からかうなよ店主」

「そうですかい。はいシュワーゼ二つ」


そういった店主は、席の前のテーブルに肘をつき俺らの様子を眺めてくる。


「あの『紅影』の頭を悩ませるとは、クラリス嬢もやりますね」

「『紅影』なんだそれは?」


ニヤついた表情を固めて、驚くような素振りを見せた店主。それにクラリスが答えた。


「知らなかったの?ダレンの二つ名」

「俺の?」

「この前の赤き閃光は旦那でしょう。ダレンちゅう人ってのが広まって着いた名らしいですぜ」

「赤い閃光を纏った黒い影だってさ」


その恥ずかしいばかりの名に俺は顔を伏せ、ため息をつく。二つ名はある意味強さの証でもあるが、自分で決められないの難点だった。

そんな恥ずかしいばかりに話に花を咲かせ、帝都をたつ予定について話した。


「そら残念ですね。常連の二人が居なくなるのは寂しいですが....」

「帰ってきたらまた顔を出すさ」

「うん。シュワーゼが恋しくなるしね」


そして、店主に別れを告げて二人して店を出た。


「ん?ダレンじゃねぇか。探してたぞ」


店を出た途端に、道端でミゲルと遭遇した。いつもの面々は連れておらず一人だった。


「探してた?なんでだ?」

「そら帝国の英雄『紅影』を祝うためだ」


再びその恥ずかしい名が出ることで、探索者協会に行かなくて良かったと心底思った。

店主と似たような会話を繰り広げた後、俺とクラリスが近々帝都をたつ事を話した。


「そうか...そりゃ残念ではあるが。またいつか会うだろう」

「そうだな。あいつらにもよろしく言っておいてくれ」

「おう。次会ったらまた手合わせしてくれ」


それにうなづき返し、共に拳を合わせる。なんだかんだ帝都でよくあった面々だ。別れも惜しくはあった。

そして前のように騎士寮へとクラリスを送っていく。

旅の準備やら、予定やらを話ながら、歩調は自然とあい、進んでいった。

そして目的地へとつき、その時はやってきた。


「ダレンはさ、今楽しい?」


髪を振り上げながら、ふと後ろをクラリスが振り返った。夕日のかかるその姿が妙にまぶしい。


「どうだろうな....。全てを清算できた時、そう思えるといいな」


考える暇もなく、すぐに俺は答えた。これは俺の本音だった。今の自分に楽しむ価値も暇も、資格もない。もう手遅れなものもある。それを抱えて、楽しめるかどうか俺には分からなかった。


「ダレンが抱えているものは分からない。けどもっと頼っていいんだよ」

「それが....俺には怖いんだ」

「私は今楽しいよ。ダレンといれて。この気持ちを共有したい。それもあるんだ」


クラリスは俺の周りを少しずつ回っていく。俺の中の何かをかき回すように、溶け込んでいくように。

再び前に来た瞬間、輝かしいばかりの笑顔だった。


「『約束』したよね?それは見つけられた?」

「見つけてはいないさ.....ただ形をつかめた気はする」

「うん。城でも言ったけど、前よりいい顔になったよ」


俺は一度自分の顔に手を触れる。明確ではないにしろ、自分の中で何かが変わっていたのはわかっていた。一歩進んだ感覚。俺はそれをかみしめていた。


「もっといい顔になれるよ。ダレンなら」


クラリスは確信めいたように言った。その碧眼を見つめると、吸い込まれるように離せなくなる。その期待を、確信を裏切りたくはなかった。

いつか、この瞳にもっといい姿を映し出したい。それをこの目で見たい。そう思えた。


「じゃ!またね!ダレン!」


そして、クラリスは煌めく夕日の中で、その光へ走っていくように帰っていった。『またね』が聞ける日を続けられたらとつくづく思った。

少しでもその光に近づこうと、俺は夕日でできた影の中を歩み、帰路についていった。


ーーーー


「もう行くのか?ダレン、クラリス」


ついに出立の日がやってきた。帝都を出る最後に、グライス、エド、ユリウスに挨拶を交わしに、騎士駐屯所へと顔を出した。


「『五剣』候補が二人もいなくなるとはな、きつい話だ」

「元々なる気はなかっただろ」

「グライスさん、エドワードさん。お世話になりました」


クラリスは直属の上司であろう二人に丁寧に挨拶をしていく。


「ユリウス皇子も、これから大変でしょうがお体にお気をつけて」

「クラリス嬢もね。ダレン君に巻き込まれるのは大変だろうから」

「おい。どういう意味だ」


ユリウスは終始、いたづらな笑みのままだった。それを周りが笑い出す。そう長い間ではなかったが、この空間は心地よかった。


「それじゃあ二人ともいってらっしゃい」

「頑張ってこいよ」

「いつでも待ってるからね」


三人に見送られながら、俺たちは騎士駐屯所を出る。門を通る最後に、手を高く挙げる。


「それじゃあ行くかクラリス」

「うん。行こう」


朝日に照らされながら、俺たちは先へと進む。二人にできる影は、太陽の向きから少しづつ溶け合い、小さなものとなっていく。

この先待ち受けるものに、ただ確固たる自分をもつことはできた。それを支えてくれる仲間も。

あとはそれを受ける覚悟だけだ。


背負った重荷は、かつてよりも軽く俺の体を確かに楽にしていた。


『自己』を掲げ歩むその姿は、まさに探し求める『冒険者』そのものだった。



ここまで読んでくださった皆さん

ありがとうございます!


至らぬ文章、イライラしたかもしれません。

読者様方の忍耐力に感謝を

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ