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エピローグ 深紅の果てに

城館の闇は静かに、しかし確かに変わり続けていた。

水城蓮はその中心に座し、全身を紅い夜の衣で包まれているようだった。


彼の瞳にはもう迷いも恐怖もなく、ただ純粋な“渇望”だけが燃えていた。

それは痛みを超えた愛情であり、狂気を孕んだ絆であり、何よりも強烈な生の証明だった。


「お前は何者だ?」

レオナルトが静かに問いかける。


蓮は微笑みながら答えた。

「俺は、もう誰でもない。だが、同時にすべての者の影でもある」


エリーゼがそっと蓮の手を取り、彼の指に自らの指輪を滑らせた。

「我らが契りは永遠。どんなに闇が深くても、繋がっている」


ルカも微笑み、柔らかく頬を寄せた。

「この世界の真実は、愛と痛みが混じり合うこと。私たちはその証明だ」


蓮はゆっくりと立ち上がり、城館の窓から外を見た。

闇の中に浮かぶ紅い月が、まるで世界を見下ろしているようだった。


「俺たちは、紅き闇に堕ちたけれど……そこには新たな光もある」

そう呟くと、彼は振り返り、三人の仲間たちに手を差し伸べた。


彼らは互いの手を握り合い、その絆の強さを確かめ合う。


外の世界は狂気に満ち、絶望が蔓延している。

だが、この城館の中で彼らは新しい“家族”を作った。

血と快楽、愛憎と狂気のすべてを包み込む場所。


そして蓮は確信した。


「俺たちは、この世界で新たな物語を紡ぐ。

壊れ、堕ちて、でも強く、生きていく」


深紅の闇は、もはやただの闇ではなかった。

それは希望の色に変わり始めていた。



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