58.次の戦場
「玲子、あなた、飛鳥の代わりにならない?」
飛鳥を弔ったあの日、桜と2人きりになった玲子は、そう切り出された。
「…え?」
玲子は桜の言葉の意味が理解できなかった。玲子が疑問に思っていることを察し、桜は言葉を続けた。
「知っての通り、私も飛鳥も、この国の諜報員。わかりやすく言えば、スパイね。特に飛鳥は、和久の直属で、色んな政治家の情報を握ったり、この国の安全を脅かす情報を事前に察知したり、とにかく色んなことをしていた」
玲子は初めて聞く飛鳥の仕事の内容に息を飲んだ。自分の想像の遥か上を行っていたのである。
「おそらくその仕事の多くは私が引き継ぐことになるとは思う。だけど、正直言って飛鳥の仕事を全部引き受けるのは無理」
「だから私、か」
玲子は桜の言いたいことを理解し、呟く。桜もそれに頷いた。
「もちろん、無理強いはしないよ。仮に引き受けてくれるなら、警察官はやめてもらわないといけなくなる。だから、よく考えて返事を聞かせてほしい」
桜は玲子に改めて言う。玲子は桜の言葉に俯き、何も言えなかった。
家に戻り、最低限の肌着姿でベッドに横になった玲子は、暗闇の中で天井を眺めた。
(飛鳥…)
玲子は死んだ飛鳥のことを考える。同時に、彼女の脳裏には、自分が自らの手で殺めた桃の顔がよぎった。
(…私が…殺したのよね…飛鳥も、桃も…その2人だけじゃない…大勢の人間が、私のせいで死んだ…あの一瞬…私が自分の感情に負けたから…)
玲子は自分の唇に触れる。キスをされたあの時の感触が、まだ残っているような気がした。
(全部私が悪い…)
玲子はそう思いながら、唇に触れていた手を握りしめ、壁を殴りつける。その拳からは、血が滲んでいた。
玲子は気にせず、ベッドから跳ね起きると、すぐ横にあった机の方へ転がり落ちる。床に腰を下ろし、机の上に置いてあった拳銃(M500)に手を伸ばした。
(結論はいつだって簡単…マリも言ってた…私たちには責任がある…これが私なりの責任の取り方…)
玲子は覚悟を決めると、拳銃に装弾されているのを確認し、撃鉄を起こし、大きく口を開けた。
(清掃業者さんには申し訳ないけど…)
玲子はそう思いながら、親指を拳銃の引き金にかけ、目を閉じた。
(怖くなんかない…自分がしてきたことを、自分にするだけ)
玲子は大きく息を吸い、親指に力を入れた。
「玲子ー、起きてるー?」
玄関から声が聞こえてくる。玲子は一度引き金を引こうとした手を止め、銃口を自分の口から引き抜いた。
「おーい、忘れ物届けにきたよー」
(マリの声だ)
玲子はその声に気づくと、一度銃を見る。
(…いや、マリにわざわざ手を掛けさせることもないわね)
玲子はそう思うと、拳銃を机の上に置き、玄関まで歩いていった。
街灯の光を背に、マリは優しい表情でそこに立っていた。
「こんばんは。起こしちゃった?」
「…ううん、普通に起きてた」
マリの質問に、玲子は短く答える。マリは玲子の表情に暗いものを感じとった。
「はい、忘れ物。これ、玲子のでしょ?」
マリはそう言ってヘアピンを玲子に手渡す。玲子は不思議そうにそれを受け取った。
「明日でもよかったのに…」
「どうしても今日中に届けたくてさ」
マリはそう言って玲子にヘアピンを手渡すと、辺りを見回す。アパートの2階から見下ろす夜の街は、静まりかえっていた。
「ねぇ、玲子。飛鳥が生きていたら、この街を見て、なんて言ったかな」
マリの不意な質問に、玲子は答えに詰まる。マリはそれを気にせず、話を続けた。
「正解はわかんないけど、きっと、『もっと眺めていたい』って思ったんじゃないかな」
「…そう?」
「きっとそう。ここから見える部屋の明かりのひとつひとつに、人がいて、その数だけの未来がある。飛鳥は、きっとその未来が見たいって思ったんじゃないかな」
マリの言葉の本心がどこにあるのか、玲子にはよくわからなかった。それでもマリは話を続けた。
「未来って、どうなるかわからないよね。私と佐ノくんだって、ずっと一緒にいられるかはわからない。でも、だからこそ、自分たちの手で未来を描きたいって思うんだ」
マリはそう言って玲子の方へ振り向く。そして、優しい表情そのまま玲子に尋ねた。
「玲子は?見たい未来はある?それとも、ここで終わらせる?」
「…気づいてたの?」
玲子は自分の行動が見透かされていたことに驚く。マリの表情から笑顔が消え、頷いた。
「まぁね。玲子なら、そうするかもなって」
マリの言葉に、玲子は何も言えずに目を逸らし、そのまま開いてある玄関の扉に背中を預けた。
「お見通し、か」
「玲子」
「わかってる…私ひとりが死んだところで責任なんか取れないし、死んだ人たちが蘇るわけでもない…でも思わずにいられないの…飛鳥や桃じゃなく、私が死ねばよかったって…」
「有り得ない」
玲子の弱々しい言葉に、マリは毅然として言い放つ。マリはそのまま言葉を続けた。
「生き残った人間には、役目がある。亡くなった人の思いを、記憶を、未来に繋いでいく役目が。それは絶対に生き残った人にしかできない役目。誰かの代わりに死ねばよかったなんて、死んだ人への冒涜だし、生きてる人間の傲慢だよ」
マリの強い言葉に、玲子は身を打ちひしがれる気分だった。
「役目…」
玲子は自分の右手を広げて見つめる。あの時桃の亡骸を抱いた感触がまだ残っているようだった。
玲子は右手を握りしめ、マリの方へ向き直った。
「マリ、私、警官辞める」
玲子の急な言葉に、マリは驚く。玲子もそれを察して、しかし本当のことをありのまま言うわけにもいかず、言葉を選びながら話を始めた。
「いや、その、責任から逃げるわけじゃないの。ただ、その、私にも、さっきマリが言ってくれた『役目』が、やらなきゃいけないことがあって…」
玲子が歯切れ悪く言うのに対し、マリも玲子の事情を察して微笑んだ。
「嘘じゃないことくらい、わかってるよ。玲子、昔の真っ直ぐな目に戻ったね」
マリが優しく言うと、玲子もその言葉に自信をもらい、笑顔を見せる。マリも、ようやく玲子が憑き物の落ちたような表情をしたことに対し、安心した様子で玲子に手を振った。
「来てよかった。それじゃあ、私、帰るね。また玲子が退職願を出す時、声を掛けてね」
「うん、それじゃ」
マリと玲子は明るくやり取りをすると、マリは去っていく。玲子はマリの背中を見送り、1人自室に戻って行った。
翌日
署長室で行われた1時間ほどの面談を終え、玲子は署長室から出てきた。
「失礼します」
玲子は署長室に一礼してから扉を閉める。そんな玲子の元に、マリが歩み寄ってきた。
「お疲れ、玲子。スーツ、似合ってるね」
「マリ…ありがとう」
玲子は不慣れな自分のスーツ姿を見て、不器用に微笑む。マリも不器用ながらに純粋な玲子の微笑みを見て、安心したように微笑み返した。
「みんなには挨拶したの?」
「うん。みんな快く見送ってくれた。私が消えて、手柄稼ぎやすくなるからね」
マリの言葉に、玲子が冗談で返す。マリはそれを笑って否定した。
「そんなことないよ。みんなホントは寂しいよ。でも、玲子自身の選択だから、誰も止めないだけ」
マリの表情が、笑顔から引き締まったものに変わり、玲子の目を真っ直ぐに見つめた。
「玲子、あなたの役目、思う存分果たしてきてね」
「ありがとう、マリ…私にできること、全力で頑張るから」
玲子も、マリの目を真っ直ぐに見つめ返し、力強く言い切る。マリはその言葉が嘘でないと心で理解すると、玲子を抱きしめる。玲子もそれに応えるようにマリを抱きしめた。
「あら、お邪魔だった?」
熱い抱擁を交わす玲子とマリの元に、桜がやってくる。玲子とマリはお互いに離れ、玲子はそのまま桜の方に歩いて行った。
「桜?」
マリは唐突に現れた桜に一瞬首を傾げたが、玲子がその疑問に答えるように話し始めた。
「次の仕事を紹介してくれたの、桜なんだ。これから一緒に面接会場行くの」
玲子の言葉を聞いて、マリは納得したように頷くと、桜の前に歩いて頭を下げた。
「そっか。私が言うことじゃないかもしれないけど、玲子のこと、よろしくお願いします」
マリが言うと、桜は戸惑いながら微笑んだ。
「玲子のお母さんみたいだね」
「はい、ウチの娘をお願いします」
「こら、悪ノリしない」
桜の小ボケに、マリが悪ノリすると、玲子がすぐさま嗜める。3人は明るく笑い合うと、桜と玲子は歩き出した。
「…今までありがとうね、マリ」
玲子は静かに言う。マリはその言葉に、力強く答えた。
「頑張ってね、玲子…!」
数時間後 金山県 某所
桜に連れられて、玲子はとあるビルの会議室の前にやってきた。何の変哲もない扉の前で、桜は神妙な面持ちで玲子に話し始めた。
「これから面接が始まるけど、緊張しなくていいよ。素直に思ったことを話してくれればいいから」
「わかった」
桜に言われ、玲子は緊張しながら頷く。桜はそんな玲子の様子を見て、扉をノックした。
「吉田桜です、新人を連れてきました」
「どうぞ」
桜の言葉に中から若い男の声が聞こえてくる。桜は扉を開けて中に入るが、玲子はまだ中に入らなかった。
「入りなよ、玲子」
桜に言われ、初めて玲子は部屋に向けて声を発した。
「失礼します」
玲子はそう言うと、部屋に入り、中にいる人数を確認する。玲子より若干年上の男性が1人、座っているだけだった。温厚そうな空気にスーツ姿であったものの、玲子にはその男性が鍛えているのがわかった。
「どうぞそちらに掛けてください」
男性に言われ、玲子は男性からデスクを挟んで向かいにある椅子に腰掛ける。桜も玲子の隣に腰掛け、男性と向かい合った。
「初めまして。私は時雨と申します。このたびは、あなたの面接官を務めさせてもらいます。どうぞよろしく」
時雨と名乗るその男は、見た目通り温厚そうに玲子に言う。玲子は固い表情のまま、軽く会釈をした。
「早速ですが、お名前と職業をうかがっていいですか?」
時雨は穏やかに尋ねる。玲子は息を吸ってから答え始めた。
「星野玲子です。職業は警察官でしたが、退職してきました」
「どうしてです?」
時雨は尋ねる。玲子は言葉に詰まり、下を向いた。
桜は時雨の方を見る。
「忠さん」
「桜、僕は星野さんから答えが聞きたい」
桜が何かを言いかけたのを察し、時雨は諭すように言う。桜はそれを聞いてさらに何かを言おうとするが、玲子の言葉がそれをかき消した。
「役目を、果たすため」
玲子は顔を上げて時雨に言う。
「続けてください」
時雨は優しい瞳で言う。玲子は時雨の目を見ながら言葉を発した。
「私は…湘堂市の出身です。子供の頃、あの事件を生き延びて、大人になってからは警官として街の人たちを守ってきました。でも、今度の魅神の事件で…私はその職務から逃げた…」
玲子は俯き、悔しそうに言葉を並べる。桜は真横でそんな様子を見て、いたたまれない心持ちだった。
「職務よりも、私情を優先して、その結果、何人もの人が命を落としました…私はその責任を取るために戦いましたけど、次は飛鳥が…」
飛鳥の名を聞き、時雨も重い表情になる。玲子は続けた。
「私は、死んでいった人たちに報いたいんです。自殺は解決にならない。命ある以上は、今を生きる人たちのために、その命を使いたい。それが私の役目。そう思って、私はここに来ました」
玲子の真っ直ぐな瞳を、時雨はそのまま受け止める。
そして、桜から渡されていた玲子のプロフィールに目を落とした。
(『強い責任感と信念を持つ』、か)
時雨はプロフィールに嘘偽りがないことを感じ取ると、再び面接官として玲子と向き合った。
「あなたの思いはわかりました。では、改めて、これから面接を始めます」
数時間後
「ありがとうございました」
面接を終えた玲子は、会議室から出て一礼する。室内では、桜と時雨が何かを話しているようだったが、玲子は聞き耳を立てるようなこともせずに1人帰路についた。
(…どうなるのかな。想像もつかないな)
玲子はそう思いながらビルを出て街を歩いていく。街は子供たちの声や、主婦、仕事帰りのリーマンたちが平和そうに過ごしていた。
(でも…どうなったとしても、もう一度、この街を、守る)
玲子は横を通り過ぎていく小さな子供達に優しく微笑みかけると、街の外れに抜け、1人アパートの階段を登り、自分の家に入っていった。
同じ頃
桜と時雨は玲子のいなくなった会議室の中で後片付けをしていた。
「どうですか、忠さん」
窓のブラインドを上げながら、桜は時雨に尋ねる。時雨は今日の面接での玲子の対応を思い出しながら、机や椅子を元有った場所に戻していた。
「彼女は死に場所を探してる。僕にはそう見えた」
時雨の言葉に、桜も何も言えず、椅子を片付ける。
「僕たち諜報員は、生き延びて多くの情報を落としてこそだ。彼女が一度私情に動かされていることを考えれば、進んで死にに行く可能性も捨てきれない」
時雨の正論に、桜は言葉を絞り出すようにして尋ねた。
「では…不採用?」
しかし時雨は首を横に振った。
「彼女の能力は、その可能性を補って余りある。僕はそれをフイにしたくない」
「じゃあ」
「うん。優秀な仲間を彼女に付けて、諜報員として採用する」
時雨が言うと、桜は満面の笑みを浮かべる。時雨はそんな桜の肩に右手を置いた。
「彼女と新しい仲間たち、任せたよ」
時雨の優しい声に、桜は時雨の右手に自分の左手を添えて答えた。
「もちろんです。期待には応えてみせます」
「頑張りすぎないようにね」
時雨は桜の言葉を聞き、優しく声をかける。桜が頷くと、時雨はそのまま桜に指示を出した。
「それじゃあ、明日の朝、星野さんを迎えにいってあげてくれ。僕は他のメンバーに声をかけるから」
「わかりました」
翌朝
玲子は乱雑になった薄着で寝ていたところを、インターホンの音で起こされた。玲子は重い頭を抱えながらベッドから降り、玄関の覗き窓から外の様子を見た。
(桜だ)
玲子はそこに立っている桜の姿を認識すると、扉の鍵を外して開ける。
「おはよう、玲子。起こしちゃってごめんね」
「大丈夫」
玲子は寝癖を治しながら言う。桜はそんな玲子の姿を見ながら、背筋を伸ばして話し始めた。
「早速だけど、これから出かけるよ。早く着替えて、準備して」
桜の言葉で、玲子は寝ぼけていた状態から一瞬で目を覚ました。
「わかった」
玲子の短い返事を聞き、桜はそのまま話を続けようとするが、玲子は扉を閉めて自宅の中に戻る。桜は1人家の前に取り残された。
「…全く」
桜は玲子の素早い行動に、感心したような笑みを浮かべるだけだった。
十数分で玲子は家から出てくると、寝癖は整い、薄着も昨日と同じスーツ姿に変わっていた。
「ごめん、お待たせ」
玲子は桜に言う。桜は首を横に振った。
「大丈夫だよ。じゃあ、行こうか」
桜がそう言って歩き始めると、玲子はその後ろについていく。心なしか、いつもよりも街は明るく見えた。
街を歩き、駅にたどり着き、10分ほど電車に揺られ、桜と玲子は灯島市の外れの静かな住宅街にやってきた。
玲子にとっては見慣れない場所だが、桜は慣れた足取りで歩いていく。玲子は街を見回しながら桜について行っていた。
(昨日の面接とは違う場所…どこにいくのかしら…)
玲子が考え事をしていると、桜の足が止まる。玲子もそれに気づいて足を止め、たどり着いた目的地を確認した。
「ここが、玲子の新しい職場だよ」
「…お蕎麦屋さん?」
桜が胸を張って紹介したのは、いかにも和風な外見をした、「蕎麦処」と書かれた看板の置かれた2階建ての建物だった。入り口には「準備中」の看板もかけられている。昨日玲子が面接を受けたビルとは、正反対と言っても過言ではない。
「桜、本当に合ってる?」
「もちろんだよ」
桜は自信に満ちた表情でそう言って、その蕎麦屋の入り口を開け、平然と入っていく。玲子は一瞬戸惑ったが、桜についていくようにして蕎麦屋の暖簾をくぐり、蕎麦屋の中に入った。
「おはようございます、店長」
玲子が暖簾をくぐる間、桜が挨拶をする声だけが聞こえてくる。
玲子が顔を上げると、厨房にいた店長が振り向いた。
「おはよう、桜」
「え…あなたは…」
玲子はその店長の顔を見て内心驚く。昨日玲子の面接官を務めた時雨が、紺色の和服に身を包んで厨房に立っていたのである。
「星野さんも、おはようございます」
時雨は玲子にも気づいて挨拶をする。玲子は状況をよく理解できないまま、時雨に対して会釈をした。
「今、麺を仕込んでるところなんで、桜、先に星野さんを案内してあげて」
「わかりました」
時雨と桜は何事もない様子でやりとりをする。桜は玲子に、ついてきて、とだけ言い、蕎麦屋の奥へと歩き始めた。
玲子も桜についていき、厨房とセットになっているカウンター席を横目に、店の奥にある階段を登り始める。
2階の階段を登った先にある扉を開けると、事務机やソファーといったものが整理して置かれていた。
だが桜はそれらに目もやらず、部屋の左にある本棚まで歩くと、その本棚を横にずらす。本棚のあった場所に、エレベーターの入り口が現れた。
(なるほど?)
桜は持っていたカードキーをエレベーターの操作パネルにタッチする。下の階で待機していたエレベーターが上がってきた。
桜がエレベーターの中に入ると、玲子も中に入り、エレベーターが下がっていく。
数秒のうちにエレベーターは目的地に辿り着き、エレベーターの扉が開く。
玲子がエレベーターを出ると、上の階とは全く空気の異なる、薄暗い、近代的なモニターと長いデスクの置かれた部屋がそこにあった。
「桜、ここは…」
「JIO、灯島支部、だよ」
桜は玲子をデスクまで案内すると、そう言って玲子を座らせる。桜もその隣に座った。
「ようこそ、この世界へ」
時雨の声が聞こえる。玲子が声のした方に振り向くと、先ほどと同じ服装をした時雨と、その背後には、泰平、正、竜、めいといったメンバーが立っていた。
「僕たちはJIO。日本諜報機関の人間だ。情報戦を主体にしながら、様々な分野でこの国の国防の一助を担う」
時雨がそう言っているうちに、桜も時雨の方に立つ。
「君は今日から、JIOの諜報員として活動する」
「私たちの仲間として、ね」
時雨の言葉に、桜が続ける。
「JIOの仕事は楽じゃないよ。覚悟はできてる?」
桜は改めて玲子に尋ねる。玲子はそれにニヤリと笑った。
「…望むところ!」
これから繰り広げられるであろう、次の戦場に向けて、玲子は不敵な笑みを浮かべていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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