始業前の話
いつも読んでくださっている皆様こんにちは。
はじめましての皆様、こちらに気づいてくれてありがとうございます。
ちょっぴり個性的な絵心を持ったある事務員の、ゆるーいエッセイ。
何も考えず笑ってもらえたら嬉しく思います。
それは4月20日のこと。
この日は私こと、『とは』の同僚の誕生日でした。
そうですね、彼女のことはイチカと呼びましょうか。
いつも世話になっている彼女になにかプレゼントを!
会社に着いてすぐに私はそれを思い立ちました。
え? 事前に準備をしていないのかですって?
……大丈夫、モノより思い出です。
そう考えた私は、彼女にバースデーカードを作ることにしました。
彼女の机に向かい、置いてあったメモ帳にさらさらと私の思いを綴っていきます。
ついでに絵も描いておきましょう。
お祝いですからね。
「アニバーサリー」ならぬ「アニバー鮭ー」というダジャレが思いついたので鮭を描くことにします。
ちょうど会社にきた別の同僚フユミに一連の流れを説明し、鮭がうまく描けたのでお披露目しておきます。
するとフユミは私に言いました。
「鮭にしては体型が丸い。なんか鮪みたい」
見直してみたら確かにその通りです。
本来の鮭は、細長い紡錘型と呼ばれる両端がとがった体型をしているものです。
今回えがいた魚は、ちょっぴりふくよかになってしまったことは否めません。
改善意欲の高い、そしてクレーム要素を減らしたい私はすぐさま訂正をいたしました。
それにより完成度を高めた作品がこちらになります!
……誰ですか? 雑な訂正だなと思った人は。
何ですか? 変わったのは絵ではなく文字じゃんと思っている人は。
フユミも同じことを言っていましたが、華麗にスルーをしてイチカの机の上にカードを置き、彼女が来るのを待ちます。
やがてイチカが出社してきました。
私と彼女の席は離れているので様子を見ることが出来ません。
彼女のデスクの方から「魚っ!」という叫び声が聞こえてきます。
私とフユミは、にまにましてそれを聞いておりました。
しばらくして、私達のいるデスクへとイチカがやってきます。
「おはよう、とはちゃん。刺身の件で話があるんだけど」
「いや勝手に調理しないで。まだ生きている形状の魚だから。ビフォー刺身だからね。どう、嬉しいでしょう?」
私の言葉にイチカは頷きます。
「うん、ありがとね。ペンギン」
「いや、あなたさっき向こうで『魚っ!』って叫んでいましたよね」
持ってきたカードをひらひらとさせながらイチカは言います。
「あれでしょ? 紙を縦にするとペンギンっていう展開でしょ?」
「違うよ!そんなんじゃ……(ん? でも確かになんかそれっぽく見えなくもないような。っていかんいかん!)」
私は首をぶんぶんと横に振り、フユミへと助けを求めます。
「ふ、フユミっ! これ魚だよな! さっきそう言ってくれたよね?」
私の言葉に、フユミはにっこりと笑みを浮かべます。
「ははは、とは。これはペンギンだろう? 目、覚めてるか? 朝だぞ?」
……そうでした。
フユミは「面白い方へつく」という性格であるのを、私はすっかり失念しておりました。
うなだれる私へイチカからとどめの言葉が入ります。
「魚にしてもさ、鮭はもっとシャープな形だよ。顎とかもね」
おっしゃる通りです。
だからこそ鮪に変えたのですが、ペンギン騒ぎでそれは私達の頭の中からかき消えておりました。
反省しつつ私は口を開きます。
「……うぅ、次からそう描くよ」
そうです、次です。
私は昼休みにリベンジすることを、この時に心に誓ったのです。
~昼休み編へ続く~




