1部2章
手を合わせ神に祈った瞬間、手と手の間に違和感を感じた。
そこには1万円札があった。
驚きとともにその1万円札を確認してみると、
偽物か本物か分からないくらい精工なものだった。
「もう一度試してみよう。」
そう呟いて手を合わせてみた。
しかしそこには何もなかった。
落胆とともにさっきとは何が違ったのか考えたら、
イメージの強さが違うことに気付いた。
改めて強くお金、1万円のイメージの強さを持って
手を合わせてみた。
そこには先ほどと同じく1万円札があった。
周りを見渡し、誰もいないことを確認し大声を出し泣き崩れた。
「この力があればお金が返せる。」
そう呟いて。
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死ぬことを止め、家へ帰り本物の一万円札と比べてみた。
どちらが本物か分からなかった。
真ん中の福沢諭吉が透けている部分や、左下の銀の部分、
どこを見ても本物にしか見えなかった。
さらに驚くことに先ほど生み出した二枚を比べると、
紙幣番号が異なっており、まるで自分が日本銀行になったかのような気分になった。
そのまま幾度と力を使い、50万円ほど作り出した。
どれも本物にしか見えなかったが、それは人間の目で見ただけでの話。
機械化が進む今、果たして機械が本物と認識するのだろうか。
偽札を作れば有罪になる。
どれくらいの罪の重さかは分からないが、犯罪であることくらい分かる。
どう扱うか考えながらその日は、眠りについた。
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次の日、俺は近所のスーパーでレジを待っていた。
お菓子と生み出した一万円を持って・・・
「お待たせいたしました。いらっしゃいませ。」
とレジ係の若い女性が言った。
リズムよく登録されていく商品のレジの音と同時に
心臓の鼓動も早まっていった。
「2412円になります。」
そう言われた。
そして俺は生みだした1万円をレジのトレイに置いた。
「1万円お預かりいたします。」
そう言い、機械に1万円を入れた。
目を閉じ、レジに吸い込まれる音を聞いた。
「7588円のお返しになります。」
そう言われた。
ドクドク飛び跳ねる心臓の音と闘いながら、
お釣りと商品を貰った。
そのまま家に帰り、ベットに横たわって
「使えた。」
そうボソッと呟いた。




