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四層② マッチポンプ
「一つの目星として上にあるかもしれないてことは分かったけど、ここには階段がないみたいだけどどうするの?」
「ココにある者を利用して、階段もしくは昇降機を作るのがいいかと」
「階段を作るとしたらゴレームを利用すればいいな!」
ミカエルの疑問に関して、研究、開発脳たちが提案することでトントン拍子に算段が立っていく。
ここはひとまず奴らに任せておけばよさそうだ。
「アイリッシュ、加護はどれくらい大丈夫そうだ?」
「まだ余裕ありますけど、そろそろ補充しないと不測の事態が起きた時に即死する可能性が高そうです……」
「加護の補充をできればこの層でしたいが、身の毛もよだつおぞましいものは今のところ確認できないしな」
「じゃあマッチポンプでもやれと……」
「……最悪それしかないだろうな。まあそうなってもトラップが多そうなところだし、これもトラップかくらいで誤魔化せるだろ」
「……」
アイリッシュは私を見捨てる気ですかみたいな顔をして、俺を凝視し始めた。
瞳の奥に眉を八の字にした俺の顔が見える。
そんな目で見るなよ。




