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三層㊺ タンク
「その武器に関係あることか?」
「ああ、こやつらのことじゃ。わしはこの武器たちを全て封印せねばならん」
リッチャンは地面に散らばった封印をされた武具を宙に浮かせると後ろ髪に束ね始めた。
呪いを施す武具だ。
なんとなくでは在るが、リッチャンが封印しようとする理由は分かったような気がした。
「人の事情に深く介入しない。冒険者のルールにアンタも立派に順応したみたいね」
「そういうわけでもねえよ。聞かなくても分かることは聞かなかっただけだ」
「あんたは変に察しがいいところがいつのまにかまた強化されたみたいね。あんたがちゃんとしてるみたいで少し安心したわ」
「人ごとだな」
「そりゃ、次の層であたしはエリア連れて外に出るしね」
「せめて11層くらいまでは付き合ってくれると嬉しいんだけどな」
「冗談キツイわよ……。用もないのにこんなところに長居したい馬鹿はいないわよ」
ダメ元で願い立てするが、やはり返事は芳しくない。
タンクが抜けた穴はどうしようか。
現状ではアイリッシュに頑張ってもらうしかないが。




