第二層攻略開始
無限迷宮。
各層がどこかの国どこかの場所とつながっている謎の多い迷宮だ。
攻略難易度も第一層から迷宮難易度Bランク相当――ベテラン(ランクB上位)冒険者がパーティーを組んでやっと攻略できる難易度とかなり高く設定してあり、俺たちのルートの最高到達層の十層でさえは確実に迷宮難易度Aランク――ギルドの売れっ子(Aランク)冒険者がパーティーを組んでやっと攻略できる難易度とされている。
俺はギルド所属ではない単なるシティーボーイなので、よくこのランクの基準かわからないが、おおよそAランクはギガンテスのワイルド種の一回り、二回りくらい強い奴が出てくるくらいということだろう。
想像通りであれば俺もレベルが上がっているし、パーティーでやれば十層までは問題ないだろう。
だが報奨金が生じる十一層からはよくわからない。
しいて分かることと言えばこのままでは次第にアイリッシュとミカエルについていけずに俺達低レベル層の連中がそこから脱落し始めることだ。
出来るだけ上に行きたい俺としてはそれは防ぎたい。
アイリッシュとミカエルに頼んでしばらくは低レベルの俺達に雑魚処理を任せてもらうようにして、我々低レベル層の強化を図ろうか。
そうすればアイリッシュのビビりバレも回避できて一石二鳥だし。
「おい、アイリッシュ。二層に行ってから低レベル層の強化したいからしばらく戦闘中は手をださないでくれるか?」
ギルドまで行く最中、サイドでふんぞり返って歩いている奴にそう頼む。
おそらく聞くまでもなくOKだろうが。
「フン! 断る!」
(嫌です)
「うん!? ごめん、いまなんて言った?」
「断る!」
(い、いやだから出来ないって……)
ええ、まさかのNGかよ……。
絶対にOKするて高をくくっていたから地味にショックだ。
一体こいつは何が気に入らないというのだろうか。
「なんか出来ない理由でもあるのか?」
「モンスターを殺せと腕がうずくからだ!」
(モンスターがいるのに何もしないと加護が下がるんです……)
「結構シビアなんだな。お前の加護」
女神あんなんなのに、そこらへんちゃんとしてるのか。
くそ、いまいましい。
「じゃあモンスターがたくさんいる時に分担するてのはどうだ。ミカエルとお前で一方。俺達で一方みたいな」
「それだけでは血が足りん!」
(ええ、あの人怖そうだし)
「まあ分からんこともないけど。ちょっとくらい我慢してくれよ」
「よかろう、しばらく我慢することにしてやろう!」
(そうですよね、そうなりますよね。我慢したいと思います)
若干不平があるようだが、何とかアイリッシュは了承してくれた。
あとはミカエルだけか。
―|―|―
無限迷宮入り口。
「分担して当たりたいですか。こちらもそのうち補強せねばならないと思っていたので、いいですよ。でもちゃんと危険だと思ったら声を掛けてくださいね」
(ついてこれなくなったら半殺しにして、無理やりレベルアップさせようと思ってたから手間が省けたな)
あんたは鬼畜か……。
そんなことされたら廃人になるだろうが。
あぶない、言わなかったら廃人ルート直行だった。
「言いたいことはもうないですよね?」
「ああ、もうない」
「じゃあ、第二層に行きましょうか」
そういうと返事を聞かずにミカエルは第二層の転移陣に乗って消えた。
少し緊張しながら俺もそれに続く。
いよいよ本格的な攻略がスタートだ。