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三層㉜ 崖の上
崖の上に至るとイルマスとリッチャンが対峙していた。
特段荒だった様子もないが、一方から出る禍々しいオーラと一方の胸から生じる出血から穏やかとも言えない。
「まあまだ大丈夫ではありそうだな。岩陰から様子を見張るか」
「戦いに巻き込まれそうなこんな位置で待機するっていうんですか……」
「これ以上離れたら矢が届く前に決着がつく可能性が高いし、事情も聞き取れんだろ」
「私、耳は結構いいのでもう500m離れても聞こえると思います」
「矢が遅れるだろ」
二人を目の前にしてごね始めたアイリッシュに応対しながら矢を弓に番えていつでも打てるように準備を整える。




