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三層㉚ 昇降機
尾行していくとリッチャンが真っすぐ崖の近くづいていくのが見えた。
おおよそ崖の上にイルマスが居ると目算を立ってているのだろう。
おそらく昇降機は奴に貼られているので上昇中に攻撃されると思うが、リッチャンがそれに気づいているのか心配だ。
もし昇降機に近づくようであれば尾行をやめて、止めなければならない。
この事態になればリッチャンの魔人疑惑を取り去ることは出来なくなるが、奴を失えばここから脱出するのが難しくなるので背に腹は代えられない。
そんなことを思いながら後を付けていくと奴は昇降機の手前で止まり、コォォォと独特の呼吸をすると崖を蹴って登り始めた。
「嘘だろ。いままであんな身体能力見せたこと……」
「出せない事情があったんじゃないんでしょうか」
俺が上を見上げてそうごちるとアイリッシュがリッチャンの先ほど居た位置を指さしながらごちた。
指の指す場所を見ると今しがた出たばかりの血の痕跡を発見した。




