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三層㉘ 魔人
「本当に魔人かどうかは知らんが。イルマスの性能は魔人っていても過言ではない気がするな」
「あの人が魔人なら、ここまであからさまなことをしないでしょう。自分が魔人だと言っているようなものですし」
「確かにそれもそうだ」
じゃあ誰だろうか。
其れらしい奴は見かけなかったし、ここで接した人間は、宿屋とか武器屋とかのおっさんだけだ。
まさか奴らの中に魔人がいたというのか。
というよりもこちらが魔人と認識してないのに見ただけで、魔人を発見したとはならない気がしてならない。
魔人と確信を持って見て初めて発見となるだろう、普通は。
「イルマスと不要な争いを起こしてもしょうがないじゃろ。ワシが説得してくるき。おまんらはここで待っとれ」
そんなことを考えているとリっちゃんがそう申し出てきた。
魔人のことを話したこのタイミングでだ。
なにか関係がありそうだな。




