三層㉓ 確執
「落ち着けよ。俺に攻撃の意図のことはわからないし、今からそれを皆で話そうとしていたとこだ」
「そうか! じゃあ話そうぜ!」
「……」
俺が奴の詰問にそう答えると早速やるように奴はこっちに仕向けてきた。
「そうだな。じゃああいつが攻撃してきた意図とか、これが原因ぽいってもの分かるやついるか」
とりあえず、一拍置いてからグラシオに同意する意を示してから周りの奴らに問いかける。
各々考えるような顔をしつつも心当たりのなさそうな顔をした。
「いなさそうだな……」
これ以上時間を割いても対した進展はなさそうだ。
よくよく考えれば、奴となにがしかの確執を作って今の事態に陥ったというのなら言う訳がないか。
言った瞬間、人身御供して奴の怒りを鎮めようということになりかねないのだから。
「じゃあ、質問を変えよう。過去に奴となにがしかの関わりがあった奴はいるか?」
一同の顔を順に眺めていく。
アイリッシュ以外はメンタリズムが発動しないのでこうやって地道に顔から情報を拾うしかない。
「なんでもいいぞ、顔を見合わせた程度でも」
俺がそう呟くとリっちゃんの眉がわずかに動いた。
本人は口を閉じて黙っているがなにがしかの繋がりがありそうだ。




