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三層⑬ 溝
泡の中を進んでしばらくするとエレベーターのようなものを発見した。
どうやって動かすのかとごねながらファイルとグラシオが弄っていたら勝手に溝の底に向けて稼働し始めた。
エレベーターから少し離れた位置にいたので、急いで乗り込む。
「いきなり動かすなよ」
「しょうがないでしょう。調べてたら動かしてしまったんです」
「まあそれがしょうがないにしても動かすときに一言言ってくれよ」
小言にマジレスしてきたファイルに気後れしつつ、注意するとファイルは止まったがグラシオが弄り続けている。
「お前にも言ってるんだぞ、グラシオ」
「おお! 分かってるぞ!」
はきはきと返事をしながらグラシオは機械をいじり続ける。
返事だけはいいな、こいつ。




