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イケメンメンタリスト(偽)ボスの間に到着する




(いざとなったときに逃げられてもごめんだし、このクソガキの性格を把握しないとな。慎重だったらそれでよし、ビビりだったら、ここでいびって遊んでやりつつ性根を叩き直さないと)


(あ、あれ何でだろ。ちょっとずつ加護が弱まってる気が……)


いかん、ミカエルに疑われていることでもう影響が。

何とか疑いを晴らさんとこのままお陀仏だ。


まずミカエルにビビりだって疑われていることをアイリッシュに伝えなければ。

『鑑定石の写し』の裏に書き込んで、それとなく渡して伝えよう。


「何かいてるんですか、ユースカスさん?」


「ユースカスじゃない、ユースケス。俺はまじめだからさっきの戦闘の反省点を書いてるんだよ」


「豆ですねぇ」


必死に工作をしている俺に呑気にイルマスが話しかけてくる。

こいつトラップに引っ掛からねえかな。


「おい、あい」

「あ、反省と言えば、あなたたちポーションを腰のポーチにいれぱなしでしょ」


アイリッシュに話掛けて渡そうとするとミカエルがそれを遮って、蘊蓄を喋り始めた。

くそ、渡しづらい。


「それはダメよ、ダメ。ポーションは左胸に忍ばせておかなきゃ」


「左胸にポーション? それは何でですの?」


「即死回避のためよ。モンスターの一撃で体力が全部削りきられちゃうことはざらにある事だから。こうしてモンスターが攻撃してきやすい左胸にポーションを入れておいて、即死ダメージを受けると同時に回復して、即死を回避しようていうわけ」


「「「「「へえ~」」」」


「なるほど、『ディリカスによる即死と蘇生の研究 第七章即死直後の回復』の応用と言うことですわね」


「う、うん。そういうことよ」


全員が感心した声を上げた後、ファイルが分けの分からない本のタイトルを言うと目をそらしながら、ミカエルは肯定した。

これ関係ないやつだな。


「すごいよ、ミカエラさん! なんかめちゃくちゃコスいけどすごいよ!」


「フフフ、すごいでしょ」


(このクソガキ、もう一回コスイっていたらシバくぞ……)


「コスイよ! スゴイよ!」


イルマスボコォ!


「す、すごいや。本当に即死しても復活してる! しかも存在レベルが1上がったよ!」


拳の制裁を左胸に食らい白目を剥いて即死したと思われたイルマスは、倒れてすぐに起き上がった。

すげえな、本当に即死回避できてるよ。


いや、感心している場合じゃない、早くアイリッシュに伝えないと。


「おい、アイリ」

「スケルトン共がまた出てきたぜよ!」


タイミング悪!

またこのタイミングかよ!

もう狙ってやってんだろ。


「もうすぐでボスの間だっていうのにしゃらくさい」

「フン、雑魚が何匹こようと変わらん」

「素材に変えてボーンメイルにしてやるよ!」

「喧嘩上等!」


前衛たち飛び込んでい行く。

くそ、さっきの流れを見事踏襲してやがる。

だがこうなって俺にできるのはできるだけ早く、掃討するだけだ。




―|―|―




(やっぱりコイツビビり臭いな。さっきよりも明らかに少ない数のスケルトンに対しても及び腰だし。慎重にしては行き過ぎだからな。もう確定みたいなもんだろ)


(ヒィィィィ! 加護が急に!)


戦闘が終わるとミカエルが更にアイリッシュの疑いを強めた。

ヤバい、やばい、やばい!


もう確信にほどなく近い。

アイリッシュの様子からしてかなりまずそうだ。

朝少し回復したらしいが、それに頼ってこのままバレるのを放置するのは出来ない話だろう。

バレるので回復した加護ごと失う可能性がぬぐえないし、ミカエルにバレて例えアイリッシュが無事でもその後連鎖的にバレる可能性がぬぐえない。


今、俺たちはボスの間の前に居る。

この場面で疑いを晴らす手段は一つしかない。


俺は一つ歩を進めて、アイリッシュのサイドに近づき、オーバーリアクションをする。


「な、なに! アイリッシュ! お前!」


(え、ユースケスさん、いきなりなに……)


俺にアイリッシュ含め全員の視線が集中する。


「一人でボスをしとめるだって!? 本気かよ!!」


(ええええええええええ!?)


「な!? 確かにアイリッシュさん、あなたは勇者だから強いけれど万が一のことがあるわ撤回しなさい」


(このガキ、こんなバカなことをするためにわざと手を抜いて温存してたとでもいうの?)


よし、疑いが別の方に転がって行っている。

俺はアイリッシュの目を見て視線で合図を送る。

アイリッシュは若干眉尻を下げて、覚悟を決めた顔をした。


「フン! 雑魚相手に万が一など存在しない!」


そういうとボスの間に進んでいく。


「アイリッシュ、お前の勇猛さに感動したぜ! 俺も行かせてもらう!」


奴一人をボスの間に入れるのはさすがに罪悪感が半端ないので、その後から俺も中に入る。

するとと背後にあった扉が閉まり、暗闇になっていたボスの間が明るくなり始めた。





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