三層⑪ 呼吸器
グラシオにエラを渡した結果、呼吸器が三個作れた。
七人いるというのに数が足りていないが二人、二人、三人という具合で分け、何とか事なきを得た。
息が長く続くと申し出た三人、ミカエル、リっちゃん、イルマスを少し心配になって見るが今のところ無理をしていると言った感じはない。
「お前ら大丈夫か?」
「大丈夫よ」
呼吸器をしている間だけ声が出せるので奴らに向けて確認するとミカエルが返事をした。
「まあイルマスがリっちゃんが使った後の呼吸器を舐めまわしてべとべとにしないか。心配だけどね」
「……」
続けた奴はイルマスを疑惑の目で見て、イルマスは飽きれた顔をした。
「そろそろ交代しましょうか。りっちゃん」
「よし、受け取った。今の話しじゃけど、イルマスが呼吸器を舐めることなどないぜよ。こいつは先のボス戦で義侠に熱い男じゃとワシは理解しとるき」
そういうリっちゃんは若干早いタイミングでイルマスに呼吸器を渡し、俺も肩をバシバシと叩かれて呼吸器を使い過ぎだったことを悟り、アイリッシュに呼吸器を渡す。
「リっちゃんさんは本当にいい人ですね。それに比べてミカエルさんは呼吸器を舐めるなんて――」
呼吸器を受け取ったイルマスはそこまで言うと、目から光が消え、なぜか絶望したような表情になって呼吸器をミカエルに渡した。
何が起こったのかが分からないが見てはならないものだということは分かったので俺は目をそらす。
するとアイリッシュが青い顔でこちらを見ていることに気付いた。
(ユースケスさん、感染症とか持ってないですよね?)
お前……。




