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三層⑦ アレルギー
「イルマス、アイリッシュは魚アレルギーなんだ。距離を置け」
「え……」
俺が咄嗟に思いついた言い訳を言いながらアイリッシュとの距離を置くと、困惑と疑惑が混じった目でイルマスはこちらを見始めた。
「いや、僕の血が付いたナイフを触れてませんし、絶対にそれではない気が」
「匂い的なアレでもアレルギーは起こるんだよ」
「いや、流石に無理でしょ。それもう呪いレベルですよ」
「さすがに無理ってお前何でそんなことが分かんだよ。アレルギー持ってないだろ、お前」
「いや持ってないですけど」
「ほらな適当な事言うなよ」
納得いかねえと顔をしつつも言い返しては来なくなったイルマスを確認すると、アイリッシュにアイコンタクトを取り、少し離れたところまで離脱する。




