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勇ましいビビり勇者に迫るビビりバレの危機

存在レベルでも、職業病やスキルのレベルでも。

 レベルを上げるのはとても困難だ。


 例えば、存在レベルではレベル2までは5歳まで成長すればだれでも上がるが、レベル3以降は半死半生になるか、何らかの極限状態もしくは、死闘に身を投じない限り上昇しないし。

 職業病やスキルのレベルに至っては己の人生のすべてを捧げて、レベルが1上がる程度だ。


 それ故、レベルが違うことは相手と圧倒的な実力差、精度の違いがあることを明白に証明する。


 そのレベルについて記述された『鑑定石の写し』を見ないことでこのパーティーの実力が分からないことが急に不安になってきた。

 アイリッシュとミカエル以外があまり実力が高くなかった場合。

 必然的にこの二人がヘイトを取る必要性に駆られるからだ。


「フン! みすぼらしいダンジョンだ!」


(ヒィィぃ! 殺される!)


 迷宮の中をただ歩いているだけでもう精神崩壊しているのに。

 そんなことになればぶっつけ本番でアイリッシュが確実に何かボロをこぼす。


 そうなる前に『鑑定石の写し』のステータスかなにかでこじつけて、やらせてはいけない口実をでっち上げないと。


「しばらくモンスターは出ないようだし、お前ら鑑定石の写し見してくれよ」


「ああ! それもそ――」


「モンスターが出た! 構えて!」


 俺が鑑定石の写しをグラシオたちに要求すると、ミカエルが声を張り上げた。

 モンスタータイミング悪!

 もはや仕組まれたようなタイミングの悪さだ、くそ。


「はあああああ!」

(ヒィィぃ!)

「てい!」

(弱いのは大歓迎!)

「うおおお!」

「ぜよ!」


 アイリッシュとミカエルが正反対の反応を内心でし、目の前に来たスケルトンを掃討し、余りをサイドからグラシオとりっちゃんが畳みかける。

 だが殺しきれず俺とイルマスが矢とナイフを放つことでスケルトンが反撃を打つ前に仕留める。


「まだ来ます! 下がってください!」 


『偉大なる炎の御子の顎よ、ここに顕現し、目の前の災いを飲み込み給え! 

 ファイアバイト!』


 するとファイルが注意を促してから火魔法を発動させ、こちらに殺到するスケルトンに大きな火の顎を下ろした。

 数体を完全に灰に返し、残ったスケルトンたちもところどころが炭化して体の一部が損なわれた。

 だが、健在なものも多くこちらにそのままの勢いで殺到する。


「数が多いですね、この人たちにそのまま任せるのは少々不安です。アイリッシュさん、私と一緒にヘイトを誘導してください」


「フン、言われるまでもない!」


(ヘイト管理……。そんなの死ぬ。絶対に死んじゃう!)


 ついに来てしまったか。

 こうなればもう出来るだけ早く敵を倒し、アイリッシュがボロを出させないようにするしかない。


 大盤振る舞いだ、食らえ!


 ――早打ちLV1発動


 矢を続けざまに三つ番え、飛ばしていく。

 当たり所が頭だったのか、火魔法を浴びた奴だったのかは知らないが当たったスケルトンはすぐに消滅する。


 一度で気力30消費だからあと連続で四回は発動できるな。

 それで大半は掃討できるだろう。


 早打ちをしてアイリッシュの近辺に群がる奴らに矢の雨を降らせる。

 アイリッシュに近づいて来る奴らの4,5割は減らせただろう。


「ハア……ハア……ハア」


 気力ゼロになったことで息が上がり、倦怠感に襲われる。

 或る程度気力が回復するまで矢は撃てそうにない。


 クールタイムに入っているとスケルトンを倒し終えたようで、全員武器を収めた。

 奇跡的にアイリッシュにボロは出さずにに乗り越えられた。

 矢と気力を大量消費して頑張ったかいがある。

 俺が安堵して周りに取りこぼしがないか確認しているとミカエルが不満そうな顔をしてアイリッシュを見ていることに気付いた。


「……」


(このクソガキ、実力に反した及び腰の剣振って時間かけやがって、もしかしてビビってんのかコイツ?)


 嘘だろ。

 そんなのでビビりとか疑惑持つのかよ。

 やばいぞ、一番疑われたくない奴に疑われてる。

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