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魔界54 覚知

 ノイマンの姿をとっているそいつは襲いかかってくることはないので、とりあえず弓を構えたまま様子を見る。


 「介入する隙を作ってくれないか?」


 するといきなり奴は頼み事をこちらに切り出してきた。


 「自分の連れに対して言ってるのか、こっちのアイリッシュに言ってるのかどっちのことだ? 後者だった場合今すぐお前の頭に矢をぶち込むぞ」


 「ノルアクアのことだ。隙を作ればこっちで俺の呪いを打ち込んで、あの場にいることを気づかせる。そうすれば説得もうまくいくだろう」


 話が見えてこない。

 心の世界にいるこいつが、あの場ーー現実に居た記憶はないが。


 「気づかせるてことは今はノルアクアが見てもわからない姿で現実にいるってことか?」


 「ああ、俺はイルマスの魂で呪いとして息づいている」


 「息づいているってお前はイルマスが生まれる随分前に死んだだろうに。それなのにどうやって呪いを刻むって言うんだ」


 「前世に限度を超えて呪具を利用した反作用で生まれ変わっても呪いが浄化しきれずに刻まれた状態だったてだけだ。特別何かをしなくても最初から刻まれている」

 随分と荒唐無稽なことを言ってるが、そうであれば辻褄が合う部分もあるのでおいそれと否定もできない。

 こいつの呪いが有れば,今まで謎だったイルマスが呪いの力の説明ができるのだ。


 「じゃあなんで今までそうやって俺たちの前に姿を現さなかったんだ。利害が一致してるのだから別に姿を表して問題はないだろ」


 「表せるならそうしてる。イルマスの魂に刻まれている都合上、奴の精神世界にしか干渉できないんだ」


 魂と心なら精神世界、現実の物体ならば現実の世界に姿を表せるとか言った具合だろうか。


 「それに奴が俺の存在をしっかりと認知したのは先程だしな」


 「認知されるのが遅いな」


 「復讐する相手と前世で仲睦まじかったってのがどうしても受け入れられなかったんだろう」


 「それで今呪死寸前になってか。一体どんな心変わりがあったんだ」


 「そこまでは入り込めない。俺はそこに刻まれているだけなのだから。内部まで全て把握できるわけじゃない」


 「まあ無視し続けるよりはマシか。一番話の通じそうなここでお前の協力を取りつけられたんだから」


 「わかってくれたならそれでいいよ。それで結局こっちの頼みは受けてくれるのか?」


「受ける他に選択肢はないだろ。それに妥当じゃなくて隙を作るだけというのならまだやりようはいくらでもある」

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