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魔界53 刻印
白い空間の中に進んでいくと中にひとつだけ瘴気を放つ赤黒い刻印が浮かんでいた。
何もないという異様な光景から刻印を中心にしてノルアクアの心の世界から隔絶しているように感じる。
この刻印はなんなのだろうか?
場違いというか、なんというかアイリッシュの心の世界にはこんなもの存在しなかったのだが。
本当のところ瘴気を放っているのであまり近づきたくはない。
しかし何か特定できない以上まずは近づかないわけにはいかない。
刻印に歩を進めていくと刻印は何かに答えるようにどんどんとその光と瘴気を強くしていく。
『精神の中まで人が来るとはな」
そんな声が聞こえるといきなり暴発する様に瘴気が大量に吹き出した。
何事かと思い,バックステップで後ろに下がると瘴気は人の形を取り始めた。
警戒がてらそれに向けて弓を構えると,ふわふわとした輪郭がしっかりとしていき、顔がくっきりとわかるほどになる。
絶句した。
ノルアクアの顔が現れると思われたそこには、ノルアクアの夫のノイマンの顔があったからだ。




