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魔界44 ピース
先陣をかけるアイリッシュを目で追おうと思うと、ふっと背後に気配が生じたのを感じた。
振り返ると先刻の白い甲冑が後ろにいた。
右肩の鎧が欠けていることから考えても別人ではないだろう。
「アイリッシュ、お前は何にそんなに恐怖してるんだ」
「……」
甲冑の裏側が見えたわけではないが、確信があったのでそう問いかけると奴は剣を構えた。
「答えれば、精神的な主柱が壊れて廃人になりかねんと言うことか」
光刃と発生させ,剣に光のエンチャントをかけると大きく奴は踏み込んできた。
常のやつから考えられないが、自ら接近戦を選択して襲いかかってきた。
よほど切羽詰まっていると言うことだろう。
ここより先には核心といっても過言ではないものがあることはまず違いない。
ここが踏ん張りどきだ。




