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魔界33 一撃

 炎の正体は不屈の勇者だった。

 先ほどまでーーおそらくノルアクアの破壊によってーー動けず、行動不能に陥っていたはずだが、いまは確かな足取りでこちらに向けて歩を進めている。


 願ったり叶ったりの援軍だが、奴はこちらの意図を知らない。

 もしかしたら戦うのに夢中で逆に、霧の奥にノルアクアを押し込める可能性もあるだろう。


 最低限こちらと情報を共有しないと大惨事だ。

 テレパスでノルアクアを呪いの外に誘導する意思と、手を貸すように伝えなければならない。


『呪いの霧の外にこいつを誘導する。アシストしてくれ』


 そう奴に向けて思念を送ると、コクリとうなづいた。


 ノルアクアは破壊で完全に無力化したと思い込んでいるのか、全く持って背後から近づく不屈の勇者に気づていない。


 この布陣なら霧のギリギリに引き寄せて、奴が最後の一発を入れれば、出すことができそうだ。


 避けて。引き寄せる。

 進行上に霧の濃い部分を確認し、安全のためにわざとそちらに飛びこむ。

 さらに激痛が響いたが、見当違いの場所に奴はあらわれてくれた。


 もうすぐ霧の境なので、おそらくこれ以上奴は深追いしないだろう。

 打って出るにはここだけ。

 目配せで不屈の勇者に合図を送ると共に、矢を奴に向けて放つ。


 正面から矢が、背後から大剣が奴に迫る。

 矢を弾くと思われたノルアクアは本能ゆえなのかわからないが,目を見開くと義手を矢の盾にして刀を大剣に向けた。


 刀が大剣をバラバラに破壊すると持ち手だけになった大剣でノルアクアの横面を叩きつける。


 ノルアクアの口の端と不屈の勇者の横腹が裂けた。


 ノルアクアは最後の一撃の衝撃で飛ばされ、呪いの霧の外に出た。

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