魔界23 突進
聖獣の突撃でこちらの戦闘が始まると、イルマスの方でも金属音が響き始めた。
死に体のイルマスの援護に周りたいが、聖獣の様子からしてそれはできそうにない。
下手に散れば、あの突進の餌食になるのはわかり切っている。
体から出る青色のオーラのことから考えると負傷覚悟で行くのもリスクが高いだろう。
最悪一人ずつ潰された挙句、ノルアクアと挟み撃ちにされ全滅させられる。
まず目の前のこいつから処理するしかなさそうだ。
「ミカエルあいつの突進止められるか」
「止められるに決まってんでしょうが。止められなかったら聖騎士なんて名乗ってられないわよ」
ミカエルに動きを止めるように催促すると威勢のいい返事が返ってきた。
同じことを言いながらここまでくるのに二度ほどしくじっているので、少し不安が残るが流石にこの大一番はないだろう。
前の二つは二日酔いで力は入らなかっただけだし、やつがここにきて飲んだくれたところは見たことがない。
「ロリコォォォン!(浅はかな! 魔族の逆境により全てのステータスが上がったこの我の突進を止めようとするとは!) 身をもって後悔するがいい!」
聖獣はさらに突進の速度を上げると、空気の抵抗を減らすためかわざと人の状態になり、突きの形で突っ込んできた。
鋭い刃とミカエルの盾とぶつかった。




