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魔界22 火蓋
アイリッシュの光の絨毯に乗って、進むと炎上している城内の様子がはっきりしてきた。
中では不屈の勇者が体から血と炎を噴き出しながら、ノルアクアと聖獣と対峙していた。
ほぼ無傷の彼方と比べて、負傷の多い不屈の勇者が劣勢であるということは一目瞭然だった。
イルマスはその様子を確認すると黒炎を殊更に強くして飛び出した。
奴はノルアクアの直下に降りるかと思うと聖獣がそれを妨げる形で突進してきた。
イルマスは奴の突撃を大剣で受け流すと、ノルアクアの元に降り立った。
「この時が来るのを待ち焦がれていました」
奴はそういうと大剣をノルアクアに向けて構えた。
「貴様が何者かはわからないが呪いを刻んで戦う覚悟だけは認めよう。もう苦しまぬようにせめて痛みのないように殺してやる」
ノルアクアはイルマスに対して、そういうと刀を居合に構える。
「ロリコォォォン!(さてお前らは我が直々に相手してやろう)」
開戦の火蓋が切って落とされると思うと空中にいた聖獣がそう宣った。




