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魔界21 崩壊

 パキリと何かが折れる音とともに、大気が震えるのを感じた。


 見るとこちらに向けて飛んでくる赤黒い衝撃波にイルマスが飛び出していくのが見えた。

 奴は大剣をインベントリから取り出すと赤黒いオーラを全身に滾らせる。


 黒い炎がイルマスの体から生じ始めると、イルマスは持った大剣を衝撃波に叩きつけた。

 空中で押し負けるかと思われたが、衝撃波はどんどんと後退して代わりにイルマスの剣から生じた黒いオーラがタックス目掛けて飛んでいく。


「本気を出したな化け物め。押し負けたのは不服だがまあいいだろう」


 奴のそんな言葉が聞こえるかと思うと鮮血が飛び散った。


「師匠☆」「師匠…!」


 弟子たち二人がこちらとの戦闘を放棄して、タックスの元に走っていく。


 背後から打とうと思ったが、二人の背中から完全に戦意がなくなっていたのでやめた。


 奴らはこちらを一瞥するとタックスを担いで退散した。


「イルマス、お前大丈夫か」


 奴らにこれ以上深追いしてもしょうがないので、イルマスの状態を確認する。


「ええ、呪いの進行が早くなりましたが支障はありません」


 奴はそんなこと答えたが見るからに大丈夫ではない。

 左胸から黒炎が上がり、その箇所から血も吹き出ている。

 リッチャンがなっていた症状そのままだ。


 イルマスはもう長くないことは容易に分かった。


「そんなことよりも先を急ぎましょう。もう彼女は目と鼻の先なのですから」


 奴は自分の状態などまるで気にかけた様子もなく、何かに取り憑かれように指を刺して促してくる。


 イルマスが指さした場所を見ると炎上している古ぼけた城が見えた。


「あ、あれは師匠の炎ですね。ノルアクアはイルマスさんがいうようにあそこに」


 アイリッシュはそういうと光の絨毯を作った。

 珍しく進行することに積極的に動いている。

 奴なりにイルマスの思いを汲み取っているのかもしれない。

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