魔界17 障壁
「僕が止めに行きます。皆さんはあの槌と杖の方をお願いします」
奴の武器の呪いの侵食があった場合のことを考慮して、どう迎え打つか思案しているとイルマスが前に出た。
「ああ、頼んだ」
奴は呪いの侵食を一番受けているので、それを鑑みて、自分自身が出るのがいいと判断したのだろう。
イルマスにとって残酷ではあるが一番正しい判断だ。
奴が受けることでまだ呪いの影響を受けたことがない他の連中がどうなるのかわからないという不安要因が取り除かれたのだから。
奴のお陰でこれで呪いを警戒することでのミスは大きく減る。
俺たちは奴が相手をしている間に、後の二人を打倒することを考えればいいだけだ。
「時間をかけずにたたみ込むぞ」
俺が発破をかけるとエナーと自称している魔族の少女が踏み込み、それと同時に俺も矢に手を伸ばした。
迫ってくる一度エナーに照準を取ってから照準をずらし、背後にいる杖の魔族に照準を合わせる。
近接職よりも遠距離攻撃ができる後衛の方を潰すのが先決だ。
迷わずに矢を放つと、矢は槌の魔族の頬をかすめて杖の魔族に当たった。
だが矢は着弾すると何かに弾かれたように折れる。
よく見ると奴の周りの景色が屈折していることに気づいた。
どうやら魔法で障壁を貼っているようだ。
こちら側にはない魔法だ。




