二層㉔ 一本道
イルマスが何かしらの問題の目になりうりそうな奴であることはわかったが、ダンジョン攻略中で今何かしら問いただしてもデメリットしかないので保留だ。
今のうちに奴がシリアルキラーでないようにと祈っておこう。
日を跨ぐごとにパーティーメンバーを消えていくなどぞっとしない。
まあ今までの様子から見て、流石にその線はない思うが。
「ココで通路が崩落しているわね」
「ほかのルートはなかったのでここ以外に進む道はないのですが」
「ココしかないってことはここを降りるしかないってことぜよ」
「じゃあ、僕が降りて奈落じゃないか確認してきましょうかね」
各々が崩落した通路の先にあるものについて予想を述べるとイルマスが降りて、確認してくると進言してきた。
こちらの生死を左右することを疑いを持ってる人間にやらせたくはないが、奴意外に適任もいないか。
「では安全を確認したら呼びますので来てください」
そんな事を考えているとイルマスはこちらが返事をする間もなく穴の中に降りていた。
少しして着地する音が聞こえ、落ちた先はそこまで深くないところにあることがわかった。
「皆さん、あまり深くありませんが、バーバリアンの大群が居ます。注意して降りてきてください」
バーバリアンに囲まれ危機的状況にあるにも関わらず、イルマスは緊張感のない声でこちらに呼びかけてきた。
すると同時に複数の獣の咆哮と何かが噴出するような音が聞こえてくる。
バーバリアンの大群とイルマスが戦闘を始めたらしい。
「これはマジだな。降りるか」
疑わしいと思っていた俺だが流石にこれだけの状況証拠が出てきたので信じる事にした。
矢を弓に番えつつ、穴の中に降りていく。




