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魔界8 研究所

「そろそろ野営でもするか」


「いや敵陣で野営なんて危険ですよ!」


 俺が夜も深くなってきて、行軍するのは暗い中辛かろうと思って、そう切り出すとアイリッシュが必至の形相で待ったをかけた。

 回し車を取り上げられる直前のハムスターみたいな顔だ。


「アイリッシュ様あ! 敵陣に入ったことで臆病風に吹かれたというのですかあ!」


 アイリッシュの発言に、後ろからついて来ていた兵たちが疑念の言葉を投げかける。


「そ、そんなわけがないだろう。これはあれだ。このまま何もせずに野営なんてしてしまうと、私の内で消化されなかった戦闘本能が暴走してこの場にいる者たちの頭を勝ち割ってしまうかもしれないという危惧だ」


 アイリッシュは額に冷や汗を流しながら、自らをバーサーカーであるという支離滅裂なことを嘯き始めた。


「アイリッシュ様、なんというお方だ。敵陣だというのに、味方さえも手にかけかねないという豪胆さ。これが傲慢の勇者か……」


 それを真に受けた兵士たちは畏敬の眼差しでアイリッシュを見つめる。


 自らのウソによって、すごい勢いでアイリッシュの首が締まっていく。

 魔界が出るころには首と胴体が別れていそうだ。



 ―|―|―




 不屈の勇者が言っていた研究所までは案外あっさりと到着した。

 研究所は予想に反してあまり人々がいる場所から遠くには作っていなかったようだ。


「時刻も夜更けだしちょうどいい。このまま突撃させてもらうか」


 丁度いい具合に油断をして良そうな時間なのでそれを利用して、一気に肩をつけさせてもらう。

 敵の領地の間只中にいるのだから十中八九、どうせここでうまくやったとしても、身をひそめる場所がない限ろ、確実にバレる可能性のほうが高いのだから。


「兵たちは正面から行ってくれ。俺たちは屋根の方から奇襲をかける」


「は!」


 そう命令を出すと兵たちは研究所の表に殺到する。

 それを確認すると早速奇襲をかけることにする。


「イルマス、屋根を頼む」


 内部に入るために邪魔な屋根を処理するように頼むと、イルマスは大剣を投げて屋根の一部を取り除いた。

 取り除いた先には刀剣を眺める男が居た。

 俺は不適な笑いを浮かべるそいつに身に覚えがあった。

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