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魔界3 火沼

 こちらのげんなりした気持ちなど露ほども知らないだろう不屈の勇者は大上段に大剣を持ち上げると突撃して来た。

 慌てて回避に移ろうかと思うとミカエルが自分と不屈の勇者の間に滑り込んできた。


「十分に避けられるからそこまで過保護にならなくていいぞ」


「過保護でも何でもないわよ。ただアイツの戦い方は避けると面倒にことになるからしてるだけよ」


 ミカエルは特段こっちを見るでもなしに、不屈の勇者の剣筋を見ながらそう返して来る。

 何を言ってるのかわからないがとりあえず、立ち回りの邪魔にならない位置まで移動する。

 すると間を置かずにガキンと金属が削り合うような音が響き、大剣と盾がぶつかり合うのが見えた。

 ミカエルの防御が打ち破られなかったことにより、不屈の勇者は一度引き下がってもう一度撃ち込んでくるだろうと目星をつけていると奴は予想だにしないことをし始めた。


 押し返された勢いをそのままにぐるりと大剣を一回転させて、間を置かずに追撃を掛けたのだ。

 重量級の武器を使っているというのに、取り回しに重さを感じさせないどころか、小回りが利く剣などよるもよほど早い斬撃を連撃という形で実現。

 そこまで来てなんでミカエルが俺の前に出て来たか理解した。

 奴の攻撃は避けることが困難なのではなく、避けられるごとに遠心力が加算されて、威力が上がっていくからだ。

 要するに俺が下手に避けすぎて、奴の攻撃を抑える役目であるミカエルの盾をぶち壊すくらいまで威力を上げられてから、パスをされる前に自らその目を潰しに行ったのだ。


「ユースケスさん大変です! 周りが火で!」


 俺がそう推測を立てるとアイリッシュの金切り声が聞こえた。

 奴が見ている先を見ているとどんどんと自分たちの周りを囲むように火が広がっているところが見えた。


「どういうことだ」


「ストリンの体の炎が周りの沼からでているガスか何かに触れて、引火したんでしょう」


 俺の疑問にそう答えるとエリアは確かめるに沼の水を炎に掛けた。

 すると読み通り、炎が勢いよく燃え上がった。

 どうやら早めに決着をつけないと、魔界の食卓に上がる羽目になりそうだ


「アイリッシュ、剣を抜け。攻めるぞ」


 背中にかけていた安物の弓を取り出すとアイリッシュに合図を送る。

 アイリッシュが震えながら剣を持つのを確認すると、弦を引く。

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