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十層5 壁向

「すいませんが、今から私についてきてくれますか。前もって把握してもらいたい場所があります」


 頼むような口調でこちらにガードマンは命令するとすたすたと行き止まりに向けて歩を進めていく。

 行き止まりだというのに、どこを目指しているのだろうか。

 そんな疑問を抱いて、奴に問いかけようと思うとふっと初歩的なことを聞き忘れていたことを思い出した。


「そう言えば、お前の名前をまだ聞いてなかったな。名前は何ていう?」


「役職のガードマンではだめですか?」


「それでも呼ぶだけなら事足りるが、常で行動を共にする奴がずっと役職呼びだと息が詰まる。もっと血の通った名前を聞かせてくれ」


「じゃあ、ミステルトと呼んでください」


「変わった響きの名前だな。まあ固いガードマンよりましか。 早速使わせてもらうが。ミステルト、さっきから行き止まりにどんどんと歩を進めているように見えるんだが、もしかしてここがお前が把握してほしいって言ってた場所か?」


「いえ違います。まだそこには至って(・・・)いません」


 ミステルトはそう言うと行き止まりの壁の前で止まらずに突っ込んでいく。

 奴と壁が正面衝突するかと思うと壁が一瞬透けて、奴の体を飲み込むのが見えた。

 どうやらここは隠し通路の入り口らしい。


「またけったいなものがここには用意されているな」


「そう珍しいものでもないぞ、わしが潜った層ではいくらかはこういったところはあったからな」


 リッチャンがどの層を潜ったかはわからないがそれは最下層とかそんなレベル故の仕様ではなかろうか……。

 あまり参考にしない方がよさそうだ。


「へえ。バックグラウンドにはこんなにも魅力的な場所があったんですね」


 通路を進み、開けたドーム状の場所の全容を確認するとファイルがそう歓声を上げた。

 天井を覆うように青い明かり取りが用意された、白い大理石のドームはどうやら奴の琴線に触れたようだ。


「どうやって作られいるのか、皆目見当がつかないのが全く面白いことこの上ないです」


 未知の存在を見た際に起こる喜びについては分からないが、なんでも知ってほしいコイツがこれほど喜んでいることからとても珍しい素材でこの場が形成されているということが分かる。

 他の連中も一度入ったリッチャン以外は周りを見回してソワソワしている。

 するとそれで何が起きているのか察したのか、ミステルトが口を開いた。


「こちらが十層管理区域です。こちらの壁は星の素材が多く使われています」


 星の素材?

 説明されたはずなのだが更に謎が深まった。

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