勇ましいビビり勇者秘密がバレる②
「ええ、お前、そんな簡単に死んじゃうの?」
「死ぬ! もう絶対に死んじゃう! 加護で死んでるのに無理やり生きてるもん! これ以上弱まったら絶対にしんじゃう!」
「いやでも俺、初見からビビりだって気づいてるけど、死んで無いけど……」
「え、ほんと……? ちょっと女神様に確認してみる。女神様! 女神様!」
女神さまに確認とるってなにそれ……。
ボン!
うわあ、アイリッシュの前に変な煙出てきた。
『アイリッシュ! てめえ、エクステ中に呼び出してんじゃねえ! うまくいかなかったらシバくからなお前!』
「ヒィィィィ!」
煙から飛び出してきた女神ぽい女はアイリッシュの頭をぐりぐりしながら、そんなことを言う。
いや、あんたすでにアイリッシュシバいてるよ!
「め、女神様ぁ! ぐりぐりはやめてくださいぃぃ!」
「アイリッシュお前、あたしに意見するとは偉くなったなあ、なあおい! オラオラオラ!」
女神ことチンピラはアイリッシュにかけるグリグリの威力を強くしていく。
「早く要件言えや、オラ!」
「ヒィィィィ! 私の加護がどれだけ弱まっているか知りたいんです! すいません! すいません!」
凄むチンピラとビビるアイリッシュ。
チンピラはアイリッシュの頭を叩くとなんか変な紙が出てきた。
「しょうがねえな。見てやるよ。あ、ちょっと前より減ってんな。お前次誰かにチキンだってバレたら死ぬわ」
「そ、そうですか。あ、ありがとうございます」
「ありがとうございますじゃねえだろ! こら! ちゃんと勇ましくしろや、オラ!」
「すいません、すいません!」
チンピラはさらにアイリッシュに脅しをかけ、アイリッシュはペコペコする。
借金取りと滞納者にしか見えない……。
「フー! 仕事したな! じゃあ、しっかりやれよぉ」
「はい! はい! しっかりやります! はい!」
煙の中にチンピラがドロンすると、ペコペコするアイリッシュだけが残った。
アイリッシュはむくりと顔を上げると俺の方に、四つん這いになって進み足に縋り付いてきた。
「お願いしますぅ! バレたら死んじゃうんですうう! このことをバレないように協力してください! お願いしますぅ!」
「ヒィ!」
必死過ぎて怖い!
「お願いしますぅ!」
アイリッシュは縋った足から懇願しつつ俺の身体をよじ登ってくる。
俺は生命の危機を悟った。
「俺に任しとけ! 俺に任しとけば全部大丈夫!」
俺は気付くと大口を叩いていた。