二層⑳ 罠の定番鉄球
イルマスが順調に罠を発見していき、リっちゃんが奈落にバーバリアンを放り込むことで順調に進んでいく。
今はちょうど同じような敵の配置の通路を5つ抜けた先の穴の向こうにあった緩やかな坂を下っている。
なんだか歩を進めるごとにここ暗くなっててるな。
ちょっと先がもう見えないくらいだ。
ゴロゴロ……。
しかも何かの駆動音というか、作動音というかそんなものまで聞こえてくる。
何か嫌な予感がするな。
「おい、誰か灯り持ってないか。変な音がしてめちゃくちゃ気になる」
「暗視で先ほどから見てますが何もないから大丈夫ですよ。ユースケスさん」
「大丈夫? イルマス、不吉なこと言うんじゃないわよ。それを言うときは大概死に目に会うていう冒険者のジンクスがあるんだから」
ゴロゴロ!
イルマスの言葉にミカエルが気色ばんで注意すると、更に駆動音が大きくなっていくのを耳が捕らえた。
「ははは。 ジンクスなんてそんな非魔術的なものが当たるわけないでしょ、全く。ほら360°見渡しても……」
ゴロゴロゴロ!!
「いや途中で黙るなよ、お前。てか何凝視してんだよ」
イルマスが後ろを向いて動きを止めたので、俺も後ろを見るが暗すぎて見えない。
「フン! 坂を下りる事も出来んのか」
(い、いきなりなんですか? 2人して後ろを振り向いたまま止まって)
そんなアイリッシュの声が聞こえると周りが明るくなった。
すると坂の上からデカい鉄球が転がって来るのが見えた。
「イルマス、お前ボーとしてないで早く言えよ! てっもういねえ!」
イルマスに文句をぶつけると奴は一目散に走り出していたようで前方に向けてダッシュし、アイリッシュがその先でダッシュしていた。
お前ら周りの奴に行ってから逃げろよ!
「皆さん、上から来ます! 走ってください!」
「上からって何がよ?」
「鉄球だよ! とりま走れ!」
今更になって注意喚起し始めたイルマスの言葉を補足すると俺はダッシュし始めた。




