二層⑱ 謎の戦技
薄暗がりの中で光を反射した双眸がイルマスを追い揺れているのが見えた。
こちらが矢を構えると狙いをイルマスからこちらに切り替えた。
どうやらこちらより先に射ってしまおうという魂胆らしい。
後手に回っているのにどこからその自信がわいてくるのか、はだはだ疑問だ。
奴が引き終わる前に矢を射出すると、双眸が見えなくなり鈍い音が聞こえた。
排除完了だ。
他の応援に回るか。
「イルマス、他に弓使いはいるか?」
「もういないはずです。狙撃手二人のうち、一人はユースケスさん、一人はファイルさんがやっつけましたから」
後は前方のデカブツだけか。
「コイツ大剣がじゃまくさすぎるな! 攻め込めねえぜ!」
「わしに任せとき」
グラシオが大声を上げるとリっちゃんが無理やりデカブツの懐に入り込むとともに首元を掴み背負い始めた。
何やってんだあいつと思うとデカブツが背中から射出され、吹っ飛んでいた。
背負ってどうしてそうなる、わけがわからない。
「今のあれはなんだ?」
「新手の重力魔法では?」
「あの人にそんな学があるわけないでしょ……」
疑問に対して答えたファイルの答にイルマスがすかさず否定を入れた。




