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七層28 分身
「「喜べ。今日の呪具の調子は絶好調だ」」
靄の動きが激しくなると思うと呪術師の声がぶれて聞こえるようになった。
二つ,三つ、四つ……。
五つ以上になったと時に数えることをやめた。
おおよそこのペースならもっと増えるだろう。
それよりかは全部潰して本体を叩く方がよほど有意義だ。
矢をつがえて、目前に見えているやつに向けて打ち込む。
奴は避けることなく矢に貫かれると黒い靄となって周りに漂い始めた。
やはりこちらに姿を見せた奴はダミーだったようだ。
流石に本体をこちらに見せてすぐ終わりというのはないと言うことだろう。
虱潰しにやらなければいけないな。
パーティー全員揃っているのでそんな途方もないことではないが、大きな手間だ。
もう一度矢を番えると靄の中で火や刃の煌めきが見えた。
早速到着して潰しに入ってたようだ。
だがまだ奴の声は四方八方から聞こえる。




