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七層8 呪術師
呪いがたっぷりと広がっているのを見るとその一部から光の波が広がって徐々に消えていく。
「ふう、これで終わりかしら」
エリアが一息つくと呪いがまた振り返して、浄化した領域が黒い霧で覆われ始める。
「な,なんでよ」
エリアがその嫌がらせじみた光景に悲鳴を上げるとフードをかぶった人形の何かが靄の奥から出てきた。
「人の領域を荒らしたんだからあたり前に決まってるだろうが。ゴホゴホ…」
よくみるとフードの奥には白い肌の青年の顔が見えた。
整っているがしかめ面なのでひどく愛想がなさそうだ。
「お前は誰だ?」
「私は呪術師ローン。口の聞き方に気をつけろ、若造」
ローンは不機嫌そうな顔でそう答えた。
お前も若造だろうに。




