七層2 蔓延
地上では西の果てで人々の脅威とされているモンスターが街にいる人々に対して遇している。
奇妙な光景だ。
よく見ると遇されている人々にも何か違和感を感じる。
どこか偽物ぽいというか。
『あ、カバン」『急がないと遅れるな』
心は普通な感じなのだが、何が俺に違和感を抱かせているのだろうか。
「生きているものの匂いがしんの」
リッチャンの呟きが俺の中の確信をついた。
「代わりに鉄の匂いが溢れ変えとるき」
目の前で遇されているものが人ではないと気づくとディゼルがこちらに異様に小綺麗な顔を向けた。
「ええ、ここの人は体を機械化もしくは機械に乗り換えた人しかいませんから」
恐ろしいことをこいつは場違いなほど高い声で言う。
「かくいう私も体を機械に乗り換えましたし」
「それは途方もないことだ。機械ってことはモンスターにするてことだろ。よく受け入れたな」
「当時は呪いが蔓延していましたからそれ以外に方法がなかったんですよ。人も機械も」
そこでディゼルは言葉を切ると前を向き始めた。
「続きは教会に案内してから始めましょう」
奴がそう提案してきたので俺もそれに乗ることにする。




