六層58 浄化
祈りによって浄化していくが明らかに別の場所からクマが現れた。
「まだ出てくるな。どうなってんだ」
困惑しているとエリアが祝福された十字架を投げてきたのでそれを受け取る。
矢に括り付け、クマに向けて放つ。
するとクマは前回の時と同じように胡散霧消して消えた。
「別の場所にも怨念が溜まった場所があるってことじゃない」
「未だこんな感じの墓地が至る場所にあるってことか」
「墓地の浄化は本来教会の人間が定期的にやるからこんなことになることはないはずなんだけど」
俺は近くで横たわってるシスターを思わずみる。
奴は薄目を開けて狸寝入りを決め込んでいた。
どうやら全てのことを説明する手間が省けたようだ。
「どうして浄化してないんだよ…」
奴はビクリと蠢いて、反応は示すがまだ狸寝入りがばれてないと思っているのか返事は帰ってこない。
「よし、何も知らないようだし、昇天してもらうか」
「待ってください! 言いますから!」
矢を番えて脅しをかけると奴はむくりと起き上がった。
現金な奴だ。
「私は浄化の力は使えないのでどうしても放っておくしかなかったんです」
「そんなことあるのか」
「あるわよ。浄化の力は才能に大きく依存するからね」
ひどく自慢げにエリアは俺の疑問に答える。
特に悪気はないとわかってるが腹立つな。
「もうこれは避けられなかった事か。じゃあこのことについては不問にするから他の墓地の場所について教えてくれ」
「他の墓地はここから北西にある第一墓地、西にあるペルムズさん宅近くにある第二墓地、北にあるコーン丘にある第三墓地、北北東にあるパンズさんにある第四ーー」
シスターは墓地のある場所を網羅し始めた。
聴き終える頃になると墓地の数は30以上の数になっていた。
墓地が多すぎる。
シスターが浄化を使えたとしてもどっちみちダメだったろこれ。




