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六層52 外出
「あなただけ残りましたか」
頬をこけさせたシスターードメスはそう呟いた。
その声は語りかけるというよりも事実を確認するようなもので、エリアのことはまだ意識の中にないような感じだった。
エリアはドメスの華奢な手に握られた十字架を見て逃げるか逃げないか決めかねていた。
不屈の勇者のパーティーにいた彼女はその過酷な環境によってかなりレベルを上げられていたが、いかんせん目の前のドメスの攻撃が自分に大ダメージを与えかねない気がしてならなかった。
「どうやら邪魔だったようね。外にいる唐変木を連れて、出直してくるわ」
何の狂いも違和感もない自然な所作でエリアは踵を返す。
彼女の中にはこれで逃げ仰せられるという確信があった。
「どこに行くんです?」
だが耳元で囁かれたその言葉でそれがまやかしだと悟る。




