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六層31 黒幕
吸血鬼に似た男が怪しいということで奴のところへ我々は向かっていた。
いくつかの集落を超えてもう少しでは到着だろうと思うと自分の影に何やら白いものが混ざっていることに気づいた。
凝視すると白い物は形を変えてヒトガタの形をとった。
この瞬間に星を連れ去った犯人が誰かわかった。
俺だ。
俺には星を大十字架から引き摺り出して、影の中に入れた覚えがないと言うのにこれはどう言うことだろうか。
考えられることは星が自意識を持って俺の影に潜り込んだか、俺にうちなるもう一つの人格があってそいつがやったかだ。
周りの奴らから人がかわったって報告がないので下はないが、上のついては簡単にはないとは否定できない。
だが上のことが本当に起こっていたとしても正直に周りに言って信じてもらえる可能性は著しく低い。
しかし言わなければどうにもならない。
言うべきか、言わざるべきかどうしたものか。