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六層28 条件
「職業とは関係なく職業病が手に入る。それは便利なことですね」
星から職業病を得られると知ったイルマスが目をギラつかせてそう呟く。
「職業病が増えるということはそこまで便利なことばかりじゃありませんよ。そこのシスターさんのようにパッシブで当人の意思と関係なく起こることもあるんですから」
「得られるメリットに対して極々小さなデメリットでしょう。そんなものはデメリットのうちに入りません」
ファイルの進言をイルマスはそう言って切って捨てた。
向こう見ずここに極まれりだ。
まあ迷宮を攻略しなければならないこちらとしては気持ちはわからんでもないが。
「職業病が手に入るのはいいが、その前の星に憑かれる方法はどうやるんだ」
「星に願いを何度も何度も伝えることです」
「おおよそどんくらいだ」
「何千,何万回くらいだったと思います……」
無理だろそれ。
この層に一年単位くらいいないと不可能な値だ。
しかもそれでもらえる職業病がランダムと言うのは割に合わない。
前向きに検討していたイルマスも流石に閉口している。
「現実的に考えて無理だな」