六層25 ジャンケン
「ジャンケンポン!」
誰がヒトガタの隣に誰が寝るかジャンケンで決めることになった。
そして今俺の目の前にはグーが2つ、パーが5つ。
ちなみに俺はグーだ。
目の前にあるパーをグーではたき落としてやりたい。
「あたしのグー!!?」
同じくグーを出したエリアはよほどグーで負けたことがショックらしく天に向けてグーを掲げている。
我々2人があの不気味なヒトガタを挟んで寝ることが決定した。
普通こういうのは言い出しっぺが担うのがジンクスだというのに。
当の言い出しっぺのイルマスは「よっしゃあ!」といいガッツポーズをしている。
お前絶対あのヒトガタやばいと思ってただろ。
ー|ー|ー
「絶対やばいわよ、これ。絶対やばいわよ」
ベッドに潜り込むと同時にエリアの危機感がピークに達し、まるで暗示をかけるようにそう呟き続けている。
周りの奴らは聞く前にベッドに入った瞬間に寝息を立てているが近くにいる俺はたまったものではない。
煽りすぎだろこいつ。
「絶対やばあぁ……Zzz…」
危機感の割に寝るの早っ!
人の恐怖心を煽るだけ煽って寝やがったこいつ。
一番ダメな奴だろそれ。
マクラでも投げてこの地獄にカンバックさせるかと枕に手をかけるとヒトガタと目があった。
何こいつコワ。