二層⑩ 鍛冶屋
武器屋を覗いていくと中には今までに見たことがない多種多様な武器が並んでおり、全部にハンドレッド、ネイティブとか謎の接頭詞がついているが何なのだろう。
「おっちゃん! 自分の作品なのにそんな適当な名づけでいいのかよ! 魂込めて作ったもんなんだろう!」
それを見た瞬間にグラシオが馬鹿でかい声で武器屋の亭主に問いかける。
ほぼ怒鳴っているような勢いだ。
「魂込めてつくった? なんじゃそれは? こんなもん、DPとモンスターの素材、型の中に流し込めばつくれるわい。ほれ見ろ」
おっちゃんはこいつ何を言ってるんだといった感じで、剣ぽい形をした型の中にモンスターの素材をつめ、手から生じる謎の光(おそらくDP)を注ぐとあっという間に剣が完成した。
「型に詰めればあっという間にできあがり、それで終わりじゃ」
「もう鍛冶の原型もあったもんじゃねえな」
グラシオは死んだ目でそんなことを呟く。
どうやら鍛冶屋の店主の行動が奴のなにかに致命的なダメージを入れたらしい。
「すいません、このハンドレッドナイフてやつ一つもらえますか」
「おう持っていけ! 毎度あり!」
そんなグラシオの心中も察せず、イルマスが武器を買う。
「ほう、1000DPと中々値が張りましたがなかなか面白そうなナイフですね。あっ、グラシオさん何するんですか?」
イルマスが武器の感想を述べている横から奴のナイフを奪いとったグラシオが虚ろな目でそれを見ると天に掲げ
「こんなもんナイフじゃねえ!」
そのままナイフを膝に打ち付けへし折った。
「いやホントに何やってんだ、このデカブツ!」
当たり前のように気色ばんだイルマスに殴られる。
「落ち着け、イルマス! このナイフは俺の膝で折れるくらいのなまくらだったてことだ!」
「落ち着くのはあなたですよ! なまくらでも、買った傍から折るのはダメでしょ! 僕の1000DP。どうしてくれるんですか」
「そんな1000DPのナイフよりいいナイフ作ってやるからそれでチャラだ!」
「つ、作るたってどこで?」
「あれをみろ」
そういうとグラシオは向かいを指さした。
そこには探していた掲示板があり、武器フェスと度胸フェス同時開催と書いてあった。
「あれに参加して作るんだよ!」