六層22 シンパシー
「さてどうしたもんか」
教会のシスターは何かとやばそうな奴だが、教会しか泊まることは難しそうだしな。
安全を取れば休息が消え,休息を取れば安全が消える。
地味に究極の選択だ。
「身体を休める場所が教会しかないけどどうする?」
「じゃあ教会でいいんじゃないの。流石にあれでも教会の人間だしお堂の中で暴れたりはしないでしょ」
「ここの人間には常識はあてにならないからそうとも限らないからな」
「そんなこと言ったらどこにも泊まれないでしょ。第一にあたしらを襲う理由があっちにはないじゃない」
確かにそれもそうだが、今までの傾向で大体何かこちらのおよびのつかない理由で襲われているのだから警戒しないという選択肢は取れない。
「そうですよユースケスさん。おそらく彼女はそんなに危険な人ではありません」
俺が今までの経験則から警戒を選択しようとするとアイリッシュがまさかの発言をした。
いつも無駄に警戒心剥き出しなこいつが何故奴に対してここまで……。
「あのダウナーさは純真な人間だと私のシンパシーが告げています」
シンパシー!?
なんだそれは。
そんなもんで無害認定したのかこいつは。
「いや…」
「そうなんですか。アイリッシュさんがそういうのなら確度は高そうですね」「そうじゃの」「そうだな!」「ですね」「やはり教会ね」「認めるしかないようね」
いやそうはならんだろう。
こいつらのアイリッシュへの信頼度が高すぎて宗教みたくなってるよ。