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六層19 雲
天地がひっくり返り、言わずもがな俺の身体も真逆様になって空に落ちていく。
気づけばあっという間に地が天に上がり、空が地に落ちた。
フロアミッションの一つがこれで達成したことにならないだろうか。
そこまで都合は良くないか。
しばらく落ちていくと夜空にあった雲がクッションのように落下の衝撃を殺してこちらをキャッチした。
この層の雲は特別仕様でほぼクッションみたいなもののようだ。
妙に弾力のある雲に対して、嫌にファンシーだなと思っていると雲の陰からノソノソとクマたちが蠢いているのが見えた。
「どうやらここがこの層のモンスターが出る壁外地区みたいね」
それを同じく確認しただろうエリアがそう呟く。
まあ確かにそう考えれば、一応いつもと同じ構成の層てことになりそうだが。
「星に捧げます」
そんなことを考えているとノソノソと歩いているクマの大群に向けて例の陰気臭いシスターが特攻をかけ始めた。
細腕で振るわれる大十字架に当たったクマは黒い煙に変わると大十字架から飛び出した白い口に吸い込まれた。