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六層17 別
霧になって消えていたクマで最後かと思ったがそう言うわけでもないようだ。
空にポツポツと同じようなクマが飛んでいるのが視認できた。
空に飛んでいるクマたちはこちらを一瞥すると離れていく。
突然襲撃してきて突然去った。
よくわからない奴らだ。
わかることと言えば、吸血鬼に似ていた男が言っていた奴らの生態とかけ離れているということだ。
あまり危険はないどころか、全力でこちらのタマを取りに掛かっていた。
危険そのものだ。
別段奴は嘘をついた様子もなかったので故意にという線は薄そうだが。
おおよそあのクマがこちらにだけ特別対応をしてるとかそこらへんか。
あまりここで情報を鵜呑みにするのは良くないかもしれない。
「皆さん、こんばんわ」
遠ざかっていくクマを見ていると不意に背後から声がかかった。
振り向くと教会であったひどく陰気臭いシスターがでかい金の十字架を抱えて立っていた。