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六層15 翼
イルマスの目線の先を見ると確かに夜空に混じって何か黒いものが空を飛んでいた。
「なんだあれは?」
よく目を凝らしてみると大きな羽を生やしたクマが空を飛んでいた。
「……」
目を擦ってまた確認してみる。
大きな体躯にゴワついた黒毛と鋭い爪。
やはり黒々とした大柄のクマが空を飛んでいた。
俺が発見するとちょうどそのクマと目があった。
目と目が交差したことをお互いに確認するとクマは体を上昇させて大きく翻るとこちらに飛び込んできた。
このままぶつかられたら大変なことになるので、その場から飛ぶことで避ける。
俺が先ほどまでいた場所が陥没し、四つ足で着地した姿のクマが現れた。
食らったら即死ものの攻撃をいきなりお見舞いしてくるってどうなってんだここのモンスターは。
クマはすかさずに俺に向けて爪をお見舞いしてくるので避けがてら矢を相手に掃射する。
矢は奴の心臓に向けて突き抜けるかと思うと何故かそのまますり抜けていった。