六層11 他面
奴らの追及の嵐から逃れ、俺は一足先に教会の外に来た。
空を眺めるが特段変わったところのない夜空だ。
月一つに星がいくつも瞬いているだけで、そこには取手などついていない。
こんなもんどうやって落とせばいいというのか。
フロアミッションの一番目はあまり難易度の高くないものだど自分の中で高を括っていたが今回のを見るとそうでもなさそうだ。
「ゼエゼエ…逃げるスピードが早いわね」
荒い息が聞こえると思うと後ろにエリアが来ていた。
「そりゃ、蘇生できないほど酷い目に遭うって言われりゃ誰でも必死に逃げるだろ」
「不屈の勇者は逃げないわよ」
「勇者はなし」
また振り返されても嫌なので、話を逸らすついでに気になることでも聞いておくか。
「さっきの話では、即死の呪いは『リバイバル』でどうにかできるって話だったがリッチャンとイルマスの呪いはどうにかならないのか」
「無理ね」
寸分違わぬ即答。
この調子からするとあまり見込みはなさそうだ。
「否定するのが早いな。即死の呪いもリッチャンたちにかかってる呪いもあまり違わないだろう」
「全然違うわ。即死の呪いは魂と肉体のパスに干渉する呪い。あいつらに掛かってる呪いは魂そのものに食い込んでいる呪い。魂に食い込まなければなんとかならないこともないけど、食い込んだらお手上げよ」
食い込む、食い込まないでそんなに違うのか。
魂に食い込む呪いがどれほどのものかわからないが、なんとかする手立てはないのか。
「本当に何もないのか?」
「ないわね。魂に触れること自体危険だし、まず触れられたとしても何が起きるかまったくわからない」
どうやら本当に打つ手はないらしい。
聖職者の方面ではどうにもならないな。
唯一の手立ては他の呪いに精通している方面に頼るしかないだろう。