二層⑧ DPメーター
ごくごく普通の街並みのところどころに魔法陣が見える。
どうやら何の変哲のない都市でもないらしい。
「あそこにある魔法陣は何ですか?」
「あれは迷宮外への帰還用転移陣。一人100万DPで使用できる。外に出たい時はアレを使ってくれ」
「100万ですか……。中々おいそれとは使えないようですね」
どうやらファイルの質問の答によると一層で何の対価もなく使えた転移陣がそうでもなくなるらしい。
それにしても高いな、ハンドレッドエイプ一群体で500と考えるとあれを軽く2000回は倒したら1人使える計算か。
めちゃくちゃけち臭いな。
「……俺の家が見えてきたな。ちょっとあんたらそこで待っててくれ」
俺が帰還用転移陣の使用に腹を立てていると若者がそう言って家の中に入っていた。
それからコンマ1秒くらいで返ってきた。
早いなお前。
その身体能力あるながらハンドレッドエイプに苦戦しなかっただろ。
「礼の品のDPメーターだ。手に入るDPを自動で勘定してくれる。大事に使えよ」
「とんでもない便利アイテムだな。こんなもん7つ貰って大丈夫なのかよ」
「俺はDPメーター職人だからな。そんなもんはいくらでも家の中に転がってる」
DPメーター職人てなんだよ……。
「じゃあ素直に受け取るけど」
「ああ、そうだ。神父に挑戦者が来たら教会によらせろと言ってたんだった。一回教会によっといてくれよ」
「おお」
「じゃあこれから俺はDPメーターを量産しなきゃならないから家にこもる。DPメーターを紛失したらまた来てくれよ。じゃあな」
若者はそれだけ言い置くと家に戻りすさまじい音を立て始めた。
嵐のような奴だ。
「とりあえず言われた教会に行ってみるか」