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五層12 尾行
「確かにあれは死んでいるようには見えないわね。不死者が死ぬときは大概砂に戻るもの。なのに目の前のあれは原型を止めすぎている」
リッチャンの指摘にミカエルが同調する。
どうやら目の前の死んだと思われている女は死んでいないらしい。
白装束の男たちは特に何か嘘をついてるような様子もなく、粛々といった感じで磔にされた女を片付けていく。
奴らは少なくとも女が死んだと思っているようだ。
とんでもない茶番としか言いようがない。
いったいこれはなんのためになされていることなのだろうか。
何か嫌な意図がありそうな気がする。
とりあえず生きたままバラされた女から何かを探ってみるしかないだろう。
「怪しいし、とりあえず奴らのあとをついていくか」